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【精霊の溺愛~謎の美女~】

「あの母子を人質にして…。ひとまず撤退か…。」王は術の導入を止め、瀕死の2人を光の膜の中に封じ込めようとする。すると突然、先ほどの攻撃で自分が生み出した針のその全てが自分を狙って放たれている事に気付き、


「なんだっ。」王は間一髪、何とか避けるが、その先に1人の女性が立っていた。


「そこまでです。ルドヴィク13世。」色白の透き通るような肌、金色で腰まで伸びる美しいしなやかな髪。品のある端正な顔立ちに、フィンも目を奪われる。


「そなたは何者だ?」王が傷の痛みに耐えながら問う。


それと同時にこの部屋に続く廊下から、


「フィン!」と呼ぶ声が聞こえる。


「莉亞?」フィンが振り向くと、そこには莉亞、コンラード、エドヴァルド、ジルヴェスターの4人がこちらに向かって走ってくるのが見える。


「さあ、国王。あなたの持つ石と、あなたが殺した王妃の石、渡してください。」フィンの隣に立った莉亞が言う。


「なぜ、お前たち、ここに入ってこれた?ここは私の結界が張り巡らしてある。ここに入ってこれるのは、私が認めた者、もしくは私以上の力を…、ん?お前…その石。」フィンの方を見て、王が話しかける。


「ん?俺の石?これがなんだよ。」


「その剣に埋め込んである石はやはり…。」


「だから、この石が何だよ。もったいぶってないで早く話せよ。」


「お前…、その緑の石…。それは…、王の石だろう。なぜお前ごときがそれを…、その石を渡せ!」フィンからの攻撃で受けた傷口から血が噴き出るのも気づかない程に興奮した王は、その石を奪おうとフィンに徐々に近づく。


「何言ってんだよ、じじい。俺が王なんて訳ないだろ。」


「ふっ。まだ覚醒していないのか…。」ニヤッと笑いながら、さらにその距離を縮める王。その2人の様子を見てタイミングを見計らっていた金髪の女性が精霊を呼び出す。そして、


「反流術『流血淋漓』」静かに唱える。


 すると、彼女の呼出しに応え現れた、がっしりとした体形の勇ましい精霊が彼女の額にキスをし、


「今日も最高に美しい、我が君エルフリーデ。あなたの意のままに…。」そう告げると、すぐさま攻撃に入る。


 次の瞬間、王の体の傷口から噴き出た血液が再び体内に戻り、逆流する。その流れは血流の速さの通常の100倍の速度で、その圧に耐え切れなくなった血管が破裂し、体中から血液が噴き出る。


「ぐわっ。」王の口からも大量の血が流れる。


「すっ、すげぇ。」フィンの口から無意識に言葉が出る。


「こっ、この術を有する者は…、王のみぞ…。」すると王の頭上に、エルフィー皇子が連れ去られたときと同じ暗闇が現れ、王はその闇の中に吸い込まれていく。


その様子を満足そうに見つめるエルフリーデと呼ばれる美しき女性が、攻撃を終えたばかりで自分の腰に手を回し、愛おしそうに見つめる先ほどの精霊に、


「今日もありがとう。ランドバルド。あなたの御心に感謝します。」そう伝えると、その屈強の精霊は、

頬を緩ませ、


「あなたの為ならこの命…、いつでも捧げましょうぞ。」そう言って、その美女の頭に何度も何度もキスをする。その様子は一見、妻を溺愛する夫の姿とも取れるほどだ。


※※※


その後、コンラードの妻と娘は莉亞の回復術によって、フィンの怪我もエドヴァルドの力によって命の危機を免れる。


その様子をエルフリーデと呼ばれるが、柔らかい眼差しで見ながらフィンに話しかける。


「私も遣士様の元に連れて行ってください。」


そう言ってニコッと笑う、美しさと強さを兼ね備えた金髪の女性に目を奪われたフィンは、驚き、そして思わず無言で頷く。


それからしばらくして、アースフィアに戻る一行。


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