【蒼い石~兵団長の真の力~】
「ああ、この石か。」というとポケットから蒼く光る石を出す。
「お前をイザークからこの村に連れてくるときに魔物と戦ったんだが、その時自分の能力の解放を感じた。戦闘終了後、握った拳に違和感を覚えて見たら、この石が手の中にあったんだ…。何の石だろうとは思っていたが、それ以降あまり気にしていなくて…、これが何かあるのか?」
「お父さん。その石、もしかしたらものすごい力を持っているかもしれない。」
「ものすごい力?」
「うん、まだはっきりしてないけどね…。」莉亞は意味深に言う。
「そうか、どんな力か楽しみだ。」
「うん。」
「それでね、ここに来たのはお父さんの安否確認は勿論だけど…、12使徒も探しに来たの。この石と似た石を持った人、知らない?」
「12使徒って…。」コンラードは12支人と混乱しているようだ。
「敵の12支人じゃなくて、遣士の方の使徒のことだよ。」
「ああ、そうか…遣士側の。まさか…ファータにもいるかもしれないのか?」コンラードは驚き聞き返す。
「はい、間違いないと思います。あちらの12支人は実在が確認されてますが、だとするとこちらの12使徒が実在することも確定事項かと…。まだ推測段階ですがね…。」エドヴァルドが真剣な眼差しでそう伝えると、
「まさか…、俺もそのうちの1人か?」コンラードが冗談交じりに笑って言う。
「えっ?」エドヴァルドは驚いた表情で言う。
「お父さんまでフィンみたいな冗談を言うのね。全く…。でも厳しい戦いの中、こういう冗談ってみんなに元気を与えるのよね。莉羽も暇さえあれば、いっつもくだらない事言って、みんなを笑わせてるの。だから莉羽の周りにはいつも人が集まるのね。」
「そうだな。あの子にはみんなを元気づける力もある。そして安心感も与えてくれる。本人は神の声が聞こえないプレッシャーをだいぶ抱えて辛いだろうがな…。」コンラードはしみじみと言う。
「確かに…。でも、その部分は凱の支えが大きいですね。それに、2人の絆と、融合した力は計り知れないものがありますし、あの2人にはいつも驚かされます。」エドヴァルドもここ数日の様々な出来事を思い出す。
「そうだな。神遣士とバートラルの関係は切れることはないからな。彼らを信じてこの世界のため、俺たちの未来のために進もう!まずは王宮へ!」コンラードは力強く話す。
「はい!」 そして莉亞一行は王宮に向かう。




