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【父娘~気持ちを伝え合う事の大切さ~】

「莉亞殿!どこですか?」エドヴァルドとジルヴェスターが必死で家中を探す。


「莉亞殿!」普段表情を変えないジルヴェスターの顔にも、焦りの色が見える。すると、


「ごめん、ごめん。驚かせて。私だよ。ほら、莉亞もいる。」そう言って出てきたのは、兵団長コンラードと莉亞だった。


「もう、お父さん。何するのよ!」頬を膨らませる莉亞。


「悪かったよ。それにしても…、お前たちも気配を消すのが上手いな。まさか莉亞だとは思わず、拘束してしまったよ。」莉亞はそんな父に対して初め苦笑いをしていたが、その無事な姿に涙を浮かべる。


「お父さん、良かった。ほんとに良かった。」抱き合う親子。


「よかったです。しょっちゅう求めずとも連絡をしてくださる団長からの連絡が途絶えたので、どうされたのかと心配しておりました。…でも、よくご無事で。」エドヴァルドが安堵の表情で言う。


「おいおい、求めずともって…(焦)心配かけて悪かったよ。まさか国王が敵の一味だとは思いもせず…。その攻撃の手から逃れるのに手こずって…。」


「本当に…、誰も国王が敵だなんて思いませんよ…。常に民を第一に考えてくれていた国王が、王妃を殺してまで…」エドヴァルドはそれ以上言葉が見つからない。


「そうなんだ。俺もそれを知った時は嘘だと思いたかったくらいだ。まさか、まさかの話だよ…。」ショックを隠し切れずうつむくコンラードは、暫くして気を取り直して続ける。


「それはそうと、私も少し前にここに来たんだが…、妻も娘も連れていかれてしまった…。」その話に涙ぐみながらも莉亞は、


「お父さん、私が絶対に2人を取り戻すから…。」と力強く話す姿に、コンラードはその娘の頭を撫でながら、


「先の戦いを経て、さらにお前も強くなったな…、莉亞。本当に自分の娘かと目を疑ったよ。」と笑って話す。


「人を化け物みたいに言わないで…(笑)。でも、うん。強くなったのは、莉羽のおかげだよ。莉羽がどんなときも、心強い言葉と力をくれるの。あの子は本当にすごい。私たちの精神的支柱だね。まさしく【遣士さま】なんだなって実感する。」莉亞は微笑みながら話す。


「そうだな。莉羽は凱がいなくなって精神的にぼろぼろになっていても…、私たちに笑顔と力を与えてくれていたもんな。


 でも私にとってはやっぱり…。莉亞は俺の自慢の娘だ。愛してるよ。」


「どうしたの、そんな改まって。」ストレートに言われて顔を真っ赤にしながら照れる莉亞。


「いや、今までちゃんと伝えたことなかったから…。伝えたいことはその場で伝えないとな。かけがえのない存在を失った時の莉羽を見ていて…、そう思ったんだ。」コンラードは娘を抱きしめながら言う。


「そうだね…。それは私も思った…。神遣士とバートラルっていう柵があるかもしれないけど…、死んでしまったら何にもならないもんね…。」4人はそれからしばらく無言で時を過ごす。


それから少しして、

「そうだ。お父さん!」莉亞が突然話しかける。


「ん?」


「お父さんって、こういう石、持ってる?」


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