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【コンラードの行方~父を探しに~】

 ファータの師団長エドヴァルドと副師団長であるジルヴェスター兄弟とフィンが降り立ったのは、兵団長コンラードの住居付近。すでに国王の手の者たちがコンラードを捜索する姿が、そこかしこで見られた。そこに内緒でついてきた莉亞の姿をフィンが見つける。


「莉亞、お前なんで来たんだよ。」怒りながらフィンが言う。


「だって、あんなにまめなお父さんから連絡が来ないなんて…、心配で。」


「気持ちはわかる…。ほんとにまめだもんな、コンラードのおやっさん。でも考えてみろよ…。まあ、俺がいるからには、お前を危険な目に合わせることはまずないにしても…。もし、万が一、いや億が一お前までどうにかなったら…。」フィンはふざけながらも、真面目な表情で言う。


「分かってるって…。だから、私、負けないし、死なないから大丈夫。」莉亞は覚悟を決めた顔で言う。


その目をじっと見つめていたフィンが、


「莉亞…。お前、かっこいいな…。」ボソッと呟く。そして、


「わかった。じゃあ、何があっても絶対負けんなよ、死ぬなよ。頼むぜ!」莉亞の顔に迷いがないことを確認し、答える。


「うん。任せて!死なない!」莉亞は真剣に答える。


「で、どうするよ…。」莉亞の生真面目に答える様子に微笑んだフィンがみんなに声をかける。


「まず、敵が何を考えてるか探りましょうか。」エドヴァルドが言う。


「どうやって?」と莉亞。


「私がフィン殿に術をかけます。それでフィン殿はファータの言葉を理解することができるようになるので、兵団に成りすまして探りを入れてください。私たちは顔が割れているので、お願いします。」


「おっ、なるほど!りょーかい!」フィンが答える。


「んじゃ、待ってて。」そう言うと、ささっと敵の1人を倒し、兵服を脱がせ着替えると、兵士の集団に入っていく。しばらくすると帰ってきて、


「このまま王宮に行くらしい。ただ、コンラードの奥さんと娘も一緒に連行するみたいだ。」


「え?お母さんとメイアも?」焦った莉亞が言う。


「とりあえず俺は、さっきの奴らの所に戻って、敵に紛れて引き続き情報を得る。お前たちは、見つからないように王宮に向かってくれ。」


「わかった!気を付けてね。フィン。」


「フィン殿、この石を持って行ってください。これで我々は、あなたの状況をラグなしに確認することが出来ます。」そう言ってエドヴァルドが持っていた石のかけらをフィンに渡す。手に持ったエドヴァルドの石を眺め、


「エドヴァルドの石も綺麗な色だな…。これであんたが12使徒の1人だったらいいのに…な。」フィンがあまりに真剣な表情で言うので、3人は無意識に自分の耳を疑う。


「何を言ってるんですか、フィン殿。あり得ない話です。冗談がきつくて笑えませんよ。とにかく、この石を肌身離さず持っていてください。私の力を込めてあります。きっとフィン殿を護ってくれるはず。」


「ありがとな、エドヴァルド。じゃ、俺、行くわ。王宮でな!」こちらの心配をよそに、買い物にでも行くような、ラフな感じで向かうフィンに呆気にとられた3人は、間を置いてから、笑わずにはいられなかった。感情を顔に出さないジルヴェスターの目も珍しく笑みをたたえている。


 二手に別れたフィン以外のファータ班は、莉亞の『もう1度家を確かめたい』との要望もあり、コンラードの家に向かう。王兵団はすべて王宮に向かった後のようで、もうその周辺には誰もいなくなっていた。そこで、家の中をくまなく探す3人だが、気配を完全に消し去った人物の存在には全く気付いていなかった。兄弟が地下室を確認しているちょっとした隙に、莉羽は何者かに拘束され、2人の前から姿を消す。


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