【使徒と支人~能力者を探せ~】
凱はそう言うと、私の手を握ったまま、
「その後、コンラードとは連絡取れたか?」ファータに飛んでから連絡のとれないコンラードの行方を莉亞に確認する。
「いや、それがまだ…。」莉亞は不安な顔で報告する。
「いつもコンラードのおじちゃん、『リディア、今ファータ着いたよ』とか、『お土産何がいい?』ってどこか行くたび連絡してくれてたのに…、ほんとに何かあったのかな…。」リディアが無邪気に放った言葉で部屋の空気がさらに張り詰めてしまう。それを察したのか、突然その不安を払拭するような明るい声で、
「なあ、莉羽。ファータにいるかもしれない支人?使徒?よく分かんないけど、そいつら全員探そうぜ!兵団長に何かあるとしたら、動いたのはおそらく俺たちの情報が欲しくて仕方ないあっちの12支人か、もう一方の使徒絡みだろう?なら、ファータに行って、兵団長の消息を辿りがてらそいつら全員見つけよう!」そう言ってリディアにウィンクするフィン。
「確かに、敵はどこで支人(使徒)を探してる分からないし、それでコンラードが何かのトラブルに巻きこまれてるとしたら、行かない手はないよね!」私も同調する。
「そうだな…。使徒(支人)探し次第では、今後の戦いに影響が出るだろう…。
ログ、ファータで探してほしい。大丈夫か?」凱が尋ねる。
「お安い御用だよ!」 待ってましたと言わんばかりの笑みで、手を合わせ力を放出する。
そこで見えてきたのは、兵団長コンラードが手に持った石の力で過去を見ている姿だった。その過去とは…、現国王であり、私の父であるルドヴィク13世が狂気の表情で王妃を殺害し、石を奪い取る姿。そして、それを知った兵団長が国王に追われている現在の姿が映し出される。
「凱!まさか…、国王が…。」想像だにしなかった状況に、声が続かない私。
「今の映像を見ての推測にすぎないが…、国王があっちの12支人、王妃がもう一方の12使徒の可能性が高い…。なんて話は2の次だ。兵団長が危ない。」凱が怒りで拳を強く握っている。
「助けに行かなきゃ!」父の危機に莉亞が体と声を震わせていう。
「莉羽様。私が行きましょう。私の国です。いろんな面で有利でしょう。」エドヴァルドが言う。
「ありがとう、エドヴァルド。でも1人じゃ危険だわ…、相手は国王。しかも12支人…。」私がそう言うと間髪入れずに、
「私も行きます。」ジルヴェスターが言う。
「俺も行くよ。俺なら戦いに慣れてるし、メインとカバーどっちもできるし!」そう言うどや顔のフィンに、
「お兄ちゃん、調子に乗らないでね。」アラベルは釘を刺す。
「頼みます。フィン団長。」凱が言うと、
「なんか凱に言われるとぞわぞわするな。」
今やこの体制の参謀的存在、戦いの支柱にまでなった凱にフィンは嬉しさを感じるとともに、少し悔しさも感じていた。




