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【不穏な気配~アースフィアにて~】

「はい、でもいまだに神の声聞いたことがないので…、これといった自覚がいまだにないのですが…。」ちょっと気恥ずかしさを感じながら答える私。


「お手を取ってもよろしいでしょうか?」リーゼはニコッとして手を差し出す。私は、


「勿論。」と言って、リーゼキャロルの手を握る。


 すると、アーロの時と同様に、頭上に光の柱が立ち、皆その衝撃で否応なく後ろに数歩下がる。しかしリーゼはその衝撃すら喜んでいるように受け入れ、聖女の微笑みで、


「私がお守りすべき方。ようやくこの時を迎えられ、心から嬉しく思います。」胸の前で手を合わせ喜びを表す。


「手を触れると、全て見えるとのことですが、私にも何かを感じられたのですか?」私は自信なさげに聞くと、


「はい、全て。神のお声を聞いていないとの事で引け目を感じていらっしゃるようですが…、間違いありません、あなた様は遣士様でいらっしゃいます。」私の手を両手で持って嬉しそうに話す王女。私はその様子に少し戸惑いながら、


「そうなんですね…、良かった…。本当に良かった…。教えてくださりありがとうございます。では、神のお声が聞こえるその日を待ちたいと思います。」私は心の重荷になっていた「神遣士であることの証」が無いままここまで来た事に対する不安を完全ではないものの、払拭する事が出来、安心する。その私の顔に安堵の表情を浮かべる凱の姿を私は確認して続ける。


「王女、そしてスヴェンさん。お部屋を用意するので、ゆっくり休んでいてくださいね。」


「ありがとうございます。」話が終ると、凱がリーゼキャロルの手を取り、凱の全てを感じたリーゼが兄に抱き付く。初めての対面を喜びあう姿に、私も胸がいっぱいになる。


※※※


そんな穏やかな空気が流れるのも束の間、付けっぱなしになっていたテレビから、ニュース速報が流れ、私たち全員がこのアースフィアに不穏な空気が流れてきたことを知ることになる。


 このアースフィアで多発していた地割れで壊滅した、この星第2の国マレンドの首都を、第3国エルカワイナが占拠したというのだ。ここに私の住む第1国アースフィアが、同盟国であるマレンドのエルカワイナからの解放のために軍を動かすことが伝えられる。


「このままでは戦争が始まる…。破壊神との戦いの前に、この星がなくなるかもしれない…。」


 そう言って響夜が莉月の肩を抱く。その言葉により、仲間たちの頭に最悪な未来が映し出される。


 私はその不安から、思わず凱の隣に移動する。凱は私のその表情を確認すると手を握り、


「大丈夫だ。心配するな。」自分にも言い聞かせるように、静かにそして力強く言葉を放つ。


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