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【救出~盲目の王女~】

『え?』


 皆が一斉に驚く。


『驚くのは無理もなかろう…。この()の存在は、世に知らされておらぬからのう…。


 この娘は…、生まれながらにわしをもはるかに凌ぐ強大な力を持っておった。わしの父である当時の国王ハラールⅠ世が、この力はいずれこの国に災いをもたらす…とその力を恐れ、死の谷に捨てると…。わしも、母である王妃も、王には逆らうことなど出来ずに…生まれたばかりのわが子を連れていかれても何一つできず…。


 それからしばらくは生きた心地がしなかった…。しかし、いつしかその記憶自体消されたのか…、洗脳故か分からぬが…この子のことを思い出すことは一度もなかったのだが…、魔法が解除されたのか、洗脳が解けたからか…今まさに思い出したぞ。


 でも、まさか生きていてくれたとは…。もう一度顔をよく見せてほしい。」王は涙を流しながら懇願する。


その少女の顔がはっきりと映し出され、それを確認した王はさらに大粒の涙を流し、


『ああ、そうだ…。この娘の名前は生まれてくる前に王妃と共に、リーゼキャロルと決めておったのだ。おお~、こんなにも大きく、そして美しくなって…』そう言い終えると再び号泣し、顔を両手で覆う。


『そんな…』私はその少女の生い立ちを思うと胸が詰まり、言葉が出ない。


『父上、私は今すぐにでも妹をこの地下牢から救い出したいと思っています…許可をいただけますでしょうか?』凱は妹の状況に、少し表情をゆがませて父に思いを伝える。しかしその違いに気付いたのは、いつも一緒にいる私くらいだろう。


『その声は…、凱か?』王が尋ねる。


『はい』


『おっ、お前も生きていたのか!なんと!良かった…。本当に良かった…。


そなたにも…、父であるわしがその命を奪おうとしたことを謝罪せねばならん…。だが、その前に…。

もちろん、許可する故…、早く娘をあの闇の世界から出してあげてほしい…。頼む。』


王は涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げ、凱が生きていた事を喜ぶと同時に、何ともすまなそうな表情で凱を見ている。


『はい、父上。正確に言いますと、先日生き返りました。私は莉羽と共にメルゼブルクを救います。そして妹も、あなたも…。ですから、こちらから送る少年と少女をまず、妹のところに案内してください。それから皆をこちらに転移させます』凱はいつも通りの冷静さを取り戻し、メルゼブルクの父に答える。


『そうか…。分かった。ありがとう、凱…』涙を拭い、再び王の顔に戻したハラールⅡ世。


『いえ、当然の事をするまでです。では、こちらでお待ちしております』


 メルゼブルクにおいて自分に妹がいた事実を知らなかった上、妹が生まれてから今まで、地下の牢獄に幽閉されていたことにショックを受けながらもほぼ表情を崩さず、やるべきことに冷静かつ、迅速に対応する凱の姿に仲間たちは驚きと共に、リーダーとしての資質の高さを改めて感じたのは言うまでもない。


※※※


 それからアーロとリディアが莉亞の力によって、メルゼブルクに入る。彼らの送ってきた映像から王権反対派が王宮の周りを囲んでいるのが視認できる。その数、数千。彼らが王宮内に突入するより前に、王女を助けなければと焦る2人を王宮の兵士たちが案内する。地下深くに降りていき、ようやく会えた王女リーゼキャロルはかなり衰弱しているようだった。


「大丈夫ですか?」アーロの声に顔を上げるリーゼキャロル。


「あなたは?」突然話しかけられた王女は、びくっとして不安そうな顔を見せる。その様子から、王女が盲目である事を確認したアーロは王女が安心するように、さらに優しい口調で話しかける。


「僕はアーロと言います。この子はリディア。安心してください。僕たちはあなたの味方です。今からあなたをここから地上にお連れします。」王女はアーロの声色から敵意がないことを感じたのか、鉄格子から手を出し、2人に触れようとする。それに応じるように、アーロとリディアはリーゼキャロルの手を取り、


『大丈夫。約束します。僕があなたを無事にここから連れ出すので。安心してついてきてください。』アーロが少女の心層に話しかける。すると少女は顔を上げ、アーロの方を見て、


「ありがとう…。あなたの思いは十分に伝わっています。安心してついて行きます。


 でも…あなたの手に触れてから、あなたに何かを感じているんです。あなたは一体何者ですか?」

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