表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
288/495

【ログの力~メルゼブルクへ~】

「あっ。」私は思い出す。凱と遊園地に行った時に蘇った先代の神遣士の記憶。確かにあの時私は、凱にさっきこの男が話した内容と全く同じ事を話していた。


「この人の言う事…、間違いないんじゃないかと思う…。」私がそう言うと、母と凱が私の方を見る。


「莉羽…、あの時思い出した記憶からそう思うのか?」


「うん。遊園地で私が凱に話した事と全く同じことを言えるって…。それを知らないとあり得ないでしょ?」


「そう、僕は間違いなく、莉羽様が思い出した過去の神遣士の言った事を覚えているよ…。これで…分かってもらえました?」


「そうね、その記憶と、ジュレードという名前を知っていることから考えても…、信用しましょう。」母が言うとログは微笑んで、


「これで僕も仲間ですね!」ログは私の方を見てにこっと笑う。そして続ける。


「莉羽様が神遣士ってことは…、神様からのお言葉はいただいてるんですよね?この状況について、神様はどのようにおっしゃってるんですか?」ログの言葉に詰まる私。そして、この場の空気が一気に変わる。


 確かに私は神遣士であるにも関わらず、いまだに神のお言葉を聞いていない。私が神遣士であると母から告げられたあの日から、ずっと心に重くのしかかっていた疑問。


言葉を失っている私の気持ちを汲んで凱が言う。


「莉羽はまだ神からの言葉を聞いていない。でも、莉羽が神遣士であることに何の疑いもない。これは紛れもない事実だ。」そう言い切ると、


「戦いはここまで進んでいるのに?1回もないの?」不思議そうに無邪気な顔で私を見つめ、


「そうなんだ…。」悪気なく言うログ。


 そんな表情で言われると何と返していいのか…、正しい答えは分からないが、このままではせっかく仲間たちと築いてきた関係にひびが入るのではと、気の利いた答えを探していると、


「そんなのどうでもいいんだよ。僕たちは、莉羽の事が大好きで集まってるんだから…。ログも一緒に居たらわかるよ!だから、僕たちと一緒にいようよ、ログ。」今度は逆にジュレ―ドに抱っこされているアーロは嬉しそうにはしゃいでいる。


「そうだよね、強くて優しくて、みんなの事をまず第一に考える莉羽だからこそ、みんながここにいるんだから…。アーロ、お友達とまた一緒にいれてよかったね。」莉亞がアーロの頭を撫でる。


「うん!」


アーロと莉亞の言葉で救われたものの、私の中ではみんなが抱えてきただろうこの疑問を、今の自分ではどうやっても解消できないと思いながらも仲間の前では顔には出さないように努めた。しかし、凱にだけは全て見透かされているだろうと凱を見ると、大丈夫と言わんばかりの優しい微笑みで、いつも通り私の心をどん底から救い出してくれた。


それから母の焼き立てクッキーで休憩を取った後、また私たちは話し合いを始める。


「まず…、ジュレード…。じゃなくてログって呼んだ方がいいな。そのほうが呼びやすいし。」凱が確認する。


「いいよ。」アーロとリディアの間に座るログが笑って答える。


「で、さっきの話だが…、ログにはどこから探してもらおうか?」と凱が考えていると、


「全部の星の魔物を同時に操れるけど、この前のメルゼブルクの戦いの最中、王宮から強い振動を感じたんだよね…、だからまずメルゼブルクからいこうかな。」ログはさっきまでとは表情を変えて話す。


「強い振動?」


「うん。あそこまでの振動はそう感じる事が無い。きっとみんなが持ってる石にも反応したんだろうね。」


「そうか…。これだけの石が集まると…。」私ははっとして話し出そうとするが、ログによる石探索が始まってしまっていた。みんながログを囲んで輪になり、その中心でログは皆に指示を出す。


「みんなの頭にイメージ送るから、みんなも目を閉じてね。」そう言うとログは手を合わせて目を閉じる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ