【ジュレード~地上とエデンの橋渡し~】
「え?何?なんでみんな固まってるの?」ログが口を尖らせて言うと、
「それはそうだろ…。突然出てきて…。信じろって言う方が無理な話だ。」ハルトが一蹴する。しかし、そんな事お構いなしに莉亞は疑問をぶつける。
「あなた、今12使徒って言ったよね?さっき莉羽も言ってたけど…、こっちの12人って言うのも、同じ12使徒って呼ばれてるの?」莉亞が聞く。
「ああ、そこか~。えっとね、向こうの12支人は支える人って書いて、こっちの使徒は、使うに生徒の徒だよ。って、どっちか分からないときは、あっちとこっちで使い分ければいいよね?」そう言って、勝手に自分で納得し、満足しているログに、今度は莉月が尋ねる。
「何?あなたの力っていうのは…。」ログは莉月を見て、なぜだか嬉しそうに答える。
「まず、石の性質についてからの説明が先かな…。
シュバリエは、他の星に比べても特に石が多く存在しているのはみんな知っていると思うけど、どの星にも様々な力を持った石があるんだ。その石は地中にあっても、水中にあっても、わずかな光を放っている。その光は光を放つときに微量だけど音を発していて、その音がまたかすかな振動を起こして、石と石は共鳴し合っているんだ。
僕の力はその共鳴を察知して、石のありかを探し出すことができる。というのも…、魔物ってみんなが呼んでいるものはいくつかの種類に分かれるんだけど、僕と近い種類の魔物は、音から発する振動を魔力の源とした力を操る。
僕はその仲間の中でも一番の能力を持っているから、仲間の魔物も操ることができるんだ。だから、各星にいる魔物を操って、石のありか…、特に強力な力を持つ石は、他の石に比べて光も振動も強いから12使徒の持つ石を探すなら、僕の力は必要だと思うけどね。しかも今、石の盗難が起きて、僕の仲間は石の力に飢えている。だから早く見つかるはずだよ!」
「…。もしその話が本当だとしたら…、あなたの力は喉から手が出るくらいにほしいけど…、あなたが私たちの仲間って保証は1つもない。」私は強い口調で話す。
「確かに…。突然出てきた、このいかにも軽そうな男?に任せるのは危険だよな。」フィンも同調する。
「う~ん。まだエルフィシア様とグランディアード様、凱も思い出してくれないの?」ログは父と母の方に近づいて話し始める。
「僕の事、思い出せませんか?僕は前回の回生前、エルフィシア様と凱のすぐそばにいたんですけど。」さみしそうに話す男。
「すぐそばに?私と凱の近くに?」母は考えるが思い出せない。
「そばにいた?…お前はエデンにいたというのか?」凱が聞くとログは、
「ご名答!でも姿形が今とは違うから、思い出せないのも無理ないか…。
僕は、地上とエデンの橋渡し役のユニコーン。名前はジュレード。どうです?思い出しました?」そう言ってニヤッと笑う。
「ジュレード?お前が?」常に冷静な凱が、驚きのあまり大声を出す。
「あなた…、本当に?」莉月も同様だ。
「そうです。ずっとおそばに仕えておりましたジュレードです。私は時を経て、さらに成長しましたよ。莉羽様と凱を乗せて遊園地とエデンを飛び回ることだってできますよ!ねっ、莉羽様。」そう言ってウィンクするログ。そしてさらに続ける。




