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【回生~世紀の大審判】

 この世界は、今俺たちがいる【アースフィア】、あと【シュバリエ】【メルゼブルク】【ファータ】【ナータン】の全部で5つの星から成り立っている。それぞれの星は、それぞれの特質に合わせた文明を発展させ、歴史を作ってきた。


 しかしどの星においても…、大げさに聞こえるかもしれないが、人の数だけ必ずと言っていい程、争いが生まれる。規模の大小はあるものの、人同士が妬み嫉み、憎しみ…殺し合う…。その結果、文明が衰退、もしくは壊滅、滅亡していく…。

また、その状況下で環境破壊も進んでいて、人々は自分たちの手で住む場所を狭めることも、人類滅亡の道を早めている原因の一つになっている。


しかしそれでも、人間の自己利益重視の姿勢は変わらず…、負の感情が生み出す様々な事件においても、環境問題においても、手遅れになってから何とか対策を取ろうとするがいつも手遅れになる。その繰り返しがこの星々の歴史と言って過言ではない。


 ある時、この5つの世界はもちろん、それを含む全ての世界を創られた神が、繰り返される人間同士の戦い、殺し合いの歴史を嘆き、神の御心を伝える【神遣士】にその事態を収拾させる方策を課す。それに対して神遣士は、神と同様この人間の歴史を嘆いていた為、神の問いに対して常々考えていたある答えを即座に伝えたのだった。


 神は、神遣士自身が考えたものであるなら、それを自らの手で実践せよとの言葉を授け、神遣士はそれを基に動き始める。


 元々神遣士として授かった霊力はあったものの、自分の考えを実行に移すにはまだまだ力が足りないと感じ日々鍛錬することによって、ようやくその力を身に着けた神遣士は、自分に近い魂の持ち主をそれぞれの星から見つけ出す。

 そして自分を護る役割の眞守り人、5つの星を見守る10人の使途、それを取りまとめる2人の神士教に使命を課し、力を分け与え、自分を含めた14人を中心に世界を約2000年に一度「浄化の必要性を見極め、裁きを下す『世紀の大審判』を執り行う」そういった仕組みを作った。それが回生と呼ばれるものだ。

 

 その回生は神遣士を中心に発動し、他の13人がそれぞれの役割を果たすことで進められるもので、その星の初期化を行う事が主な目的となっている。人も大地も全て、その星が生まれた状態に戻し、何もかも0の状態からスタートさせる。つまり、人間も環境も文明も原始に戻されるというわけだ。


 そして神遣士は自分の思いを継承する者をそれぞれの星に遣わし、彼らに戦争のない世界を理想と掲げる宗教を布教させ、それを基にした国をそれぞれの星に作った。だから、この5つの星における平和に対する基本的考えは共通している。人類共存、不戦、人類愛。全ては争いのない世界を目指したもの。


 そして眞守り人、10人の使徒、2人の神士教と共に、戦争を起こそうとする不穏分子の粛清、操作を行い、戦争を回生までの約2000年の間、回避させてきた。それを何度も繰り返している…。


 ここで重要なのは、回生は必ずしも強制的に行われるものではないという事だ。人々が平和に、争うことなく、環境に留意しながら、よりよく生きていれば何の問題もなく、回生の必要性はない…。

 ただ、人間は愚行を繰り返す…。この星域の人類の歴史から分かったことだが、約2000年を目安に必ず、それぞれの星の国家間で生じた小さなひずみが、徐々に大きな軋轢へと変化し、戦争を引き起こす事態となる。そして、5つの星の中では少なくとも2国が、それと時を合わせたかのようにその星自体を壊滅させるほどの兵器を開発し、核戦争の危機を招いている。

 その歴史を基に、神遣士をはじめとする14人は、人類の誕生から約2000年を目安に、先ほど説明した『世紀の大審判』を行うのだが、彼らはそれぞれの星の現状を報告し合い、回生の是非を話し合う…、がしかし結局は毎回同じ結論に至る。不穏分子の粛清、操作を行ってきているにも関わらずだ…。


 歴代の14人の中では、人類が破滅に向かうその原因は、人々の心の在り方…ではないかと考えられてきた。


 文明を発展させていく過程で生じる他者との競争は、人々が元々持ち合わせている「負の感情」を膨れ上がらせ、他人を蹴落とすことで自我を保つことを強制させることが多々ある。それが時と共にさらに大きくなり、小さなコミュニティから生じたひずみが、やがて国単位の問題となっていく。

 いくら自分が「負の感情」に汚染されていないと考えていても、無意識に「人より優位にいたい、その為には人を貶めることも厭わない」…との考えは生まれていくもので、それは誰の心にも存在する感情だ。でも、それを抑制するのもまた「人」。それが出来ない人間で社会が埋め尽くされた時、世界は破滅に向かっていくんだ…との考えで一致したものの、それと同時にそれを解消することは不可能との結論に至る。


 科学の発展の過程で開発される強力な武器により、戦争の危機を招き、自分たちの生命を脅かす人類。また、私益を肥やすために森林を破壊し、河川や海水汚染などの環境破壊を進めた結果引き起こされた気候変動による災害により、自分たちの住む場所を失う人類。


 繰り返される、人間自らの手で世界を破滅に導いてしまう愚行を、その14人が2000年を目安に回生を行うことで回避してきた歴史が2万年ほど続いた頃、後に「破壊神」と呼ばれることになる、1人の男が現れる。


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