【再会~歓喜の仲間たち~】
私たちが劇的な復活劇を繰り広げていたころ、激しい戦闘で傷ついた仲間たちは、莉亞の力でアースフィアの自宅を拠点に広がる異空間に転送され、アラベルを中心とした治療が始められていた。洗脳を解かれ、本来の力を取り戻した父と母の結界により、この空間だけは他からの干渉を受けることがなく、仲間たちは安心して治療に専念することができた。
その彼らに、私と凱の復活の知らせが届いたのは、皆がここに戻って来てから丸3日経ってからの事だった。
「本当か?!信じられない!!」
「マジ?2人とも驚かせやがって…。でも帰ってくると信じていたぜ!!」
「復活?本当に…よかった…。」
「待ってたぜ!莉羽、凱!」
「奇跡みたいなことって、本当にあるのね!」
みんな、心からの安堵の声を上げる。
莉亞により私と凱への治癒魔法が施され、完治してからすぐに、私たちはみんなが集まるリビングに向かう。私たち2人を喜びの歓声で迎える仲間たち。
私と凱はみんなの前に立って、少しはにかみながら、
「ただいま、みんな…。」
私が涙声で発すると、室内は静寂から、一気に歓声の渦に…。それぞれが私たちの復活を喜び、この上ない喜びの声を上げる。そして、
「みんな、この戦いでたくさんの心配をかけてしまって、本当にごめんなさい。でもみんなが力を尽くしてくれたおかげで…、ここに帰ってくることができました。心からありがとう。」
私はここに集う1人1人の顔を見て、深々と頭を下げる。みんなの目にはすでに涙が溢れている。
「それで…、凱とも話したんだけど…。復活にあたって私たち、少しだけ能力が上がったと思う。だからおそらく前よりもみんなを守れるはず…。こんな私たちだけど、引き続きみんなには協力してほしい。…よろしくお願いします。」私の改まった様子に、
「何かしこまってんだよ。そんなのみんな分かってるさ。お前らがいないとこの戦いは始まんないんだよ。」フィンはそう言って、私の背中を叩く。
「そうだよ!」みんなも頷く。
「だから…、2人とも、もう絶対死なないでね!」莉亞が笑顔で言う。私たちは見つめ合い、
「うん。もう2度とこんな思いをするのは嫌。だから私たちはもう絶対に死なないし、みんなを護る。私たちの力で世界を救いたい!」
皆、私の言葉に目を輝やかす。そして、凱の方を見ると、凱がうんと頷いて、
「みんな、ただいま。心配と迷惑をかけて、本当にごめん。地割れに巻き込まれてから、向こうにいる間に得られた情報と、俺なりの考えで…、この失態を挽回していくんで…、よろしくお願いします。」
凱がそう言うと、みんなに深々と頭を下げる。それを見た仲間たちは、
「なんだよ、そういうの水臭いから、もうやめてくれよ!」
「そうだよ!って、ところで、向こうの情報って…凱、お前は洗脳されていたんじゃないのか?」
「ああ、最初だけ。でも、途中から解除と洗脳を繰り返してて…。情報得られればって、騙されたふりもしてたけど…。」
「お前、やっぱり抜け目ないな。」
フィンがそう言うと、みんな笑顔になって、それから凱が続ける。
「そう言えば…、みんなが集まるのは今回が初めてだよな?今までの状況から、敵の正体、目的が明らかになってきた。その詳細を、響夜さんと俺で話そうと思う?」父に視線を向ける。
するとフィンが、
「その前に、響夜さん?って。メルゼブルクであっち側にいたのに…、どういう事?」
フィンが響夜についての説明を求める。私はそうだ!と説明を始めようすると、
「こちらは莉羽と莉亞の父親の響夜さん。メルゼブルクでは洗脳によりあちら側にいたけれど、洗脳が解けて、全ての記憶を思い出したの。それで分かったのが前回の回生時において、アースフィアの前国王グランディアードだったという事。つまりは、私、前神遣士の莉月、前の名をエルフィシア、とは前世も現世も夫婦だという事です。」
とまで母が言うと、皆の顔がパッと晴れやかになり、アラベルにいたっては、
「純愛ですね!素敵!私もそんな恋がしてみたい!」と目を輝かせて言うのだった。
それにはみんなも頷き、微笑み、その場の雰囲気が一気に明るくなる。その様子に母莉月は少し恥ずかし気に頬を赤らめていた。
凱は皆の興奮が収まるまで、この久々の仲間同士の和気あいあいの雰囲気を楽しんでいた。それが落ち着くと、
「響夜さん、すみません。その前にいろいろ教えてほしいんですけど…いいですか?おそらく破壊神の復活が間近に迫っているようなので、現状を把握したいんです…。と、その前に…、みんな破壊神とか12支人っていうのは分かる?」
凱は口が滑ったクラウディスが話した情報…、破壊神の完全復活前に、早く作戦を立てなければと焦り、早々に話を進めたいようだ。
「莉奈がこの前話してるのを聞いたけど、12支人っていうのは、ロイとかクラウディスのことよね?」莉亞が言う。
「ああ。破壊神のもとに12人の僕がいるんだけど…。」
凱はそこまで言うと、皆が状況を把握していない事に気づく。
「もしかして…、破壊神とか12支人とか?な感じ?」皆が頷く。
「了解。じゃあ順を追って話します。補足は莉月さんと響夜さん、お願いします。」
「分かったわ。」母と父が頷く。




