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【復活~奇跡~】

【俺がこんなに落ち込んでいるのを初めて見て、きっと、どう声をかけていいか悩んだんだろうな…。でも俺にとっては、お前が元気に笑ってる姿が見れればそれで十分なのに…。


それにしても…、


俺の事を誰より思ってるってなんて言って…、こんなの普通に告白だろ…。こんな天然女子、俺しか理解できないだろうって…】凱はふっと笑って、


【落ち込んでる暇はない。こいつのことは俺が守るって決めたんだから。俺はバートラルだ。


いや、それにしても…、俺を思う気持ちは誰にも…か。(笑)何度思い出しても…、これ以上の言葉はないな。俺を動かすには十分な言葉だ】


凱は立ち上がり、私の頭をポンポンとして、


『新たなスタートだ、莉羽。行くぞ。』


と、前の会話からの脈絡が理解できずに戸惑っている私の手を引いて歩き出す凱。


そこで映像が途切れ、私は現実に戻る。


「今のは何?なんで今、あの時の映像が流れるの?しかもあの男が…。


それに凱を励ますためにかけた言葉が…告白って受け取れるって事?」


私は衝撃の事実と自分の発した言葉の恥ずかしさに、いろんな感情が頭を埋め尽くし混乱する。


すると、凱の頬に落ちた私の涙の雫が突然光り始める。そして突如、地響きが起こり、驚く私の目の前に閃光が走る。


「何⁇」


 その衝撃で無意識に後ずさりする私。そして再びの閃光。次の瞬間、凱の体は天井付近に現れた闇から伸びた光に導かれるようにして消え、同時にその闇が消える。


「凱?行かないで!凱!」


 私は目の前の光景が信じられずに叫ぶ。そして、再び轟音とともに強烈な一筋の閃光が、私の目の前を横切る。その強烈な光に目を開けることが出来ず、しばらく目を閉じていると、私の手を包み込む温かい温もりが…。


私は驚き目を開ける。


「だから言ったろ、新たなスタートだ。莉羽。」


そう私の目の前で優しくほほ笑むのは、そう紛れもない、凱の姿がそこにあった。


「凱?」


 私はこの奇跡のような出来事を信じられず、最初はあり得ないと首を振っていたが、徐々に状況を把握し、ゆっくり手を凱の方に伸ばしていく。すると凱が、その私の手を思いっきり自分の方に引き寄せ、強く抱きしめる。


「痛い。痛いよ。」


 私はその胸の温もりに、凱が再び私の元に戻って来てくれたことを確認する。そして、凱の胸に顔を思いっきりうずめる。凱は私のその様子に微笑みながら、私をさらに強く抱きしめる。私は彼の胸の中で、


「凱…、おかえり。遅かったよ…、ずっと待ってた…。」と、少しふてくされたように、でも笑顔で言うと、


「ごめん、莉羽。ただいま。」


声を落としてそう言うと、凱は優しく私の頭を撫でる。私はその温もりにこの上ない幸せを感じながら、


「ほんとに…、もう…。凱がいなくなって…どうしようって…、ずっと不安で…ずっと心配してたんだからね…。もう、凱の馬鹿…。」凱の胸を両手で叩き、再び強く抱きしめて囁くように言う。


「おかえり…。凱。」


 その声に凱はさらに私を強く抱きしめる。


それから私たちは強く抱きしめ合い、私の涙はとめどなく溢れ、流れていく。ここに言葉はもはや必要なかった。ただ、お互いが抱きしめ合うことでお互いの体温を感じ、共に生きている事を感じられるだけで良かった。


 その様子を見守り、凱の復活を見届けた両親と莉亞は、喜びの笑顔をたたえながら、そっと部屋を出る。


 私たちは時が経つのも忘れてこの幸せを噛みしめ合う。

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