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【父の苦悩~悔恨の石・希望の石~】

 アースフィアの私の部屋で、両親、莉亞が私と凱の亡骸を沈んだ表情で見守る。特に父は、この状況を招くことになった罪悪感から、自分の全能力を使って私たちの蘇生を試みる。


「戻ってきてくれ、莉羽、凱…。」


そう私たちの亡骸に語りかける父の目は、悔恨の念でいっぱいだった。そんな父の肩に手を置いて、


「響夜さん、少し休まないと…。あれから全然寝れてないでしょ。これじゃあ、あなたが倒れるわ。」心配する母が促す。


「ああ、でもこんな事になったのは俺のせいだ。俺が自分を見失わないでいれば…。」


 父はなぜ自分が洗脳されるに至ったのかを、自我を取り戻してから考えていた。何かを思い出せそうにはなるが、その先が思い出せない。横たわる私の額に手を当て、ふと何かに気付く。


「このピアスはあの祭りで買ったピアスか…?」


「覚えててくれたのね?そう、お祭りで…。」母がそこまで言いかけると、父はハッとして急いで部屋を出て、自分の書斎に向かう。


 「お母さん?このピアスって何かあるの?」莉亞が父の様子を不審に思い尋ねる。


「ええ、このピアスはね…。」母が遠い昔を思い出しながら話し始める。


 それはある年の夏祭りの事だった。2人がその祭りで、見たことのないほど美しい、様々な色の『石』を多く扱う露店に立ち寄り、興味深そうに見ていると、そこの店主が父に不思議な力を持つというアメジストのような紫色の水晶を勧めてくる。不思議な力がどんな力なのか気にはなったものの、父はその美しさに魅せられ、即購入する。一方母は、その隣にあった蒼い石のピアスに一目ぼれしてじっと見ていると、その様子に気付いた店主が、


「そんな商品、置いてたっけ?」と頭をかしげていたが、


「お姉さん、キレイだから、それあげるよ。」


と、母は遠慮したものの、半ば強引に母がもらう形になった。


 父が購入した水晶はリビングに置き、家にいる時は毎日磨いているくらいお気に入りのようだった。

母の方はそのお気に入りのピアスを毎日身に付けていたのだが、その石が身に付ける度に色が変わることに気付いてからというのも、それを「神秘の石」としてお守りとするようになった。


 その頃から、母は神遣士であった頃の記憶を徐々に取り戻していく。


「まあ、そんな感じでお父さんと2人で行った夏まつりで出会った石なのよ。」


 母が説明を終えると、父がリビングから慌てた様子で戻り、母を問い詰める。


「あの石…、紫色の結晶はどこに行った?」

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