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【メルゼブルク大戦⑩~ヴァージンロード~】

『何?何が起こっているの?』


 私は辺りを見回すが、霧のせいで一向に何も見える気配がない。すると遠くから何やら話し声が聞こえる。


『誰の声?誰が話しているの?』


 その声が、少しずつ大きくなってくると同時に視界が一気に晴れる。

 

 私はいつの間にか、王宮の大聖堂に飛んでいた。見回すと、その中央の通路を一歩ずつ歩く、白のドレスで着飾った莉奈の姿があり、そしてその先には…、王族の正装を身に纏った凱の姿が…。私は理解できずにじっと見つめる。


 すると歩みを進める莉奈は、私の顔を見てニヤッと笑い、声には出さず口で何やら伝えようとしている。その口の動きをよく見ると、


『ざ ん ね ん ね。凱はずっと昔から私のもの。本来ならね。でもそれが…誰かさんのせいで…。

まあ、過去の事は良いとして…、これから凱は私のものよ。』そう言うと、クククと笑って目の前に立つ凱の腕にしがみつき、さらに歩みを進める。


「ちょ、ちょっと待ってよ。何言ってるの?やめて!これって結婚式じゃない!凱!凱!目を覚まして!」


 私は2人のもとに駆け出そうとするが、見えないバリアがあるのか一歩も近づくことができない。


「何、何で向こうに行けないの?これじゃ、式が始まっちゃうじゃない!」焦る私を横目に、莉奈は私の心層に語りかけてくる。


『もうあきらめなさい、莉羽。あなたの愛する凱は私の物なのよ。あなたにばかり全てを奪われたくないの。だから凱くらい私にくれてもいいでしょ?』


『何言ってるの?私は莉奈から奪った覚えなんか何一つないわ!それに…、この結婚は、莉奈、あなたの一方的な気持ちの押し付けでしょ。そもそも凱は同意したの?』


『凱は私の操り人形。凱は私の喜びを自分の喜びと感じるように洗脳したから、この結婚を望む私と全く同じ気持ちでいるのよ。かつて(・・・)のように…。どう?悔しいでしょ?』


『かつてのようにって何?言ってるの?』訳の分からない事を言う莉奈に怒りをぶつける。


『ふん』莉奈ははぐらかす。


『むなしいわね。自分の洗脳で自分を好きにさせるなんて。そんな偽物の愛で、あなたは悲しくないの?哀れだわ。可哀そう。そうするしか自分に振り向かせることが出来ないなんて…。』


『ふん、言ってるがいいわ。どうやったってこの状況は変わらない。私と凱が結ばれることに変わりはないもの。最後に泣くのは誰かしらね?莉羽ちゃん。』


『…。』私は興奮のあまり息が切れて声が出なくなってしまう。


『悔しかったら、凱の洗脳解いてみたらいいじゃない?出来るんならね?フフフフ。


 あっ、それと良い事教えてあげる。このメルゼブルクでの婚姻は魔法による契約同様、一回結ばれたら消すことはできない。だから、今ここで私と凱が永遠の愛を誓えば、もう一生離れることはない。


まあ、あなたはそこで何も出来ずに見守ってくれていればいいわ。ハハハハハハハ。』


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