【第12夜③ ~メルゼブルクに集う、異星の戦士たち~】
周りを見渡すと、突然の事態に動揺を隠せない兵士たちが行く当てもなく途方にくれていた。ここに転移してきた者の中でこの星を知るものは、私と莉亞の2人だけ。
そして今回は私が転移の術に加わり、その力もまだ安定していないためか、莉亞1人ならピンポイントに転移できるはずのものが、今回ばかりは目的のヴァイマールとは少し離れてしまっていた。
私はすぐにアーロにコンタクトをとる。
『アーロ、アーロ。あなたの声が聞こえた気がして、メルゼブルクに来たんだけど…。何があったの?』
私はアーロの心層に送る。すると、
『莉羽?莉羽なの?』アーロが気づいて答えてくる。
『私たちさっきまでシュバリエにいて…。訳あって12万の異国の兵士をここに連れてきちゃったんだけど…。この星の案内をしてもらうために、村人を何人か借りたいの。今、向かうから、その前に招集してもらうと助かるんだけど…。』
『えっ?12万?う、うん…。わかったよ。何人くらい?』
『出来れば30人くらい。』
『結構な数だな…。がんばって集めてみるよ。』
『急すぎる話でごめん…。よろしくね。』そう言って、次に私は、ここに突如飛ばされた、12万の兵士の心層に語りかける。
『シュバリエ、ファータの皆さん。莉羽です。ここはメルゼブルクという、魔力を持つ者たちの住む星です。シュバリエの魔獣の攻撃を回避するために、突然ですが、皆さんをこの星に転移しました…。
この状況に、大変戸惑っていることと思いますが、今からこの星の案内者を、皆さんのもとに送ります。その者の指示に従い、この先の戦いに備えてください。
まず、ファータの皆さん、魔物の種類がファータとは異なります。魔法を使える魔物がいますので、まずその魔物がどのような魔法を使うか様子を見てください。確認後、その状況を報告願います
そして騎士団の皆さん。魔法は遠隔での戦闘も可能なため、シュバリエよりもさらに不利な戦いになることと思います。敵を倒すことではなく、まず自分の身を守る戦いに集中してください。私もすぐに参ります。』
そう伝えながら、私はすぐさまアーロの待つ家に急ぐ。




