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【第11夜④ ~だって女の子だもん!!!~】

 その後、すぐさま軍議が開かれ、今後の戦いについての綿密な作戦が、母莉月と莉亞を中心に立てられる。ファータ兵の能力と、シュバリエの武力、それぞれをいかに最大限に発揮することが出来るのか、会議は長時間にわたった。


 軍議が終わり、部屋に戻る私たちの周りで長たちが話しているのが聞こえる。


「莉羽様の母上の練られたという策は、抜かりがないほど綿密なものだったな。」


「そうだな。あれなら全軍会議で招集される、各部騎士団長たちをも唸らせるだろう。」軍議を終えて出てくるシュバリエの各長たちは、口々に母莉月の策を絶賛している。


「私たちのお母さんって、ほんと凄いんだね…。確かにファータでの戦いの時に感じたけど、以前とは全く異なる兵法での隊編成だってエドヴァルドが絶賛してた。」私が莉亞に話していると、王の使いの少年が私たちの前に跪き、


「莉羽様、本日の宴についてお話がございます。お部屋までご同行させていただいてよろしいでしょうか?」と尋ねる。私たちは不思議に思いつつ、


「もちろんです。」と答えると、使いの少年は嬉しそうに、


「ありがとうございます。」と言って、にこにこしながら部屋まで付いてくる。


 私たちが部屋に入るのを見届けると、その少年は、


「お持ちする物がございますので、ドアを開けてお待ちいただけますでしょうか?」と微笑んでいる。私が何だろう?という表情で、


「分かりました。」と答えると、少年はにこっと笑って、


「お待ちください!」そう言うや否や、走ってどこかに行ってしまった。私たちは、訳が分からず顔を見合わせながら、


「なんだろうね?持ってくるって、相当大きなもの?」


「そうだよね…。ドアを開けておくくらいだもんね。」


「えっ?もしかして剣とかの武器?」


「そんな…、わざわざ部屋には持ってこないんじゃない?」そんなこんな話していると、


「失礼します。お待たせいたしました。」と声が聞える。


 すると、使いの者数人が、何十着ものドレスがかかったハンガーラックを部屋に搬入してくる。


 私たちは驚きで開いた口を塞ぐことが出来ない。


「なんですか、これは?」母莉月が尋ねる。すると、


「王からのプレゼントです。今宵開かれます宴には、是非こちらをお召しになってお越しくださいとの王からのお言葉を預かっております。1時間後に、ドレスとお化粧のお手伝いをさせていただく侍女が参りますので、それまでにお選びいただければと思います。」さっきの少年は嬉しそうに説明する。


 私たちは戸惑いながらも、そのドレスの美しさと華やかさに目を奪われ、テンションが爆上がりする。


「ありがとう。早速、選んでみるね。」にこっと笑って伝えると、その言葉に少年は顔を真っ赤にして部屋を出て行く。


 彼の様子にしばらくほほ笑んでいた私たちは、5ラック全40着はあるであろうドレスを前に、コレクションが始まる。


「これ、可愛い。莉亞、こういうの似合うんじゃない?」


「えっ?ほんとに?着てみる!」


「お母さんはこんな感じのセクシーなのが似合いそう。」


「あら、そう?じゃあ着てみようかしら。でも…、莉羽はファータでいつも着てるから、テンション上がらないんじゃない?」


「そんなことないよ!いつも選ばれたドレスだし、自分で選んで着るってないから…。こうやって莉亞とお母さんとワイワイ言い合って選べるって、すごく楽しいよ!なんだかんだ言ったって…女の子だもん!!!」私はここ最近で一番の笑顔をしている自覚があった。双子だけに、莉亞はそんな私の気持ちを感じ取ったのか、


「ねえ、莉羽。今、さいっこうの笑顔だよ。」莉亞がニヤッと笑う。私は、


「でしょ~?」と言ってはしゃぐ。そんな娘2人の様子を見て母は父響夜にも見せたかったなと涙が溢れる。


「それにしても…、この機会を作ってくれた王には感謝しなくちゃね!」王の配慮に感謝する。


「ほんとに!シュバリエ王の気持ちに応えるために、一番似合うの見つけよう!」そう言って、私たちはみっちり1時間、自分に似合うドレス選びに時間を費やす。


 その後、時間ちょうどに3人の侍女が私たちを着飾るために部屋を訪れた。


「皆さん、ほんとにお美しい…。」

「先ほどの戦闘服からですと…、別人のようです。」

「お母さまは、心なしか亡くなられた王妃様に似ていらっしゃって、王もさぞかし驚かれることでしょう…。」年配の侍女が目に涙をためながら話す。


「そうなんですね…。」私はふと思い出す。確かに、王の間に飾られた王妃の肖像画が誰かに似ていると思っていたが、そうだ!母に似ている。


 しかしその侍女の様子を見ていると、過去に聞いた、悲しい王妃の死を思い出し、それ以上話をすることが出来なかった。


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