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【第11夜② ~王の威厳~】

 シュバリエ王宮。謁見の間。


「よく戻った。莉羽。」王は、私たちに労いの言葉をかける。今日も相変わらずのイケオジ国王である。


「思ったより時間がかかってしまい、申し訳ありません。」私は深々と頭を下げる。


「いやいや、ここまで多くの兵を連れて来られるとは…、正直ここまでと思っておらず…、受け入れ態勢に不備があったら申し訳ない。」王は苦笑い笑いをしながら言う。


「いえ、感謝しております。兵たちも手厚いおもてなしを喜んでおります。今回共にこちらに来ましたファータの兵は、それぞれ様々な術と能力を持っていますので、実際には、この人数の倍以上の働きは見せてくれると思います。

 それを踏まえた上での作戦も考えておりますので、ご安心ください。またご報告も何点かありますのでお聞きいただければと…。」私は莉亞の力で共に転移して、王宮で合流した母とアイコンタクトを取る。


母は少し前に出て、

「アースフィアでの莉羽の母、莉月と申します。回生についてのお話は、すでに莉羽からお聞きかと思いますが…、前回の回生以前、私は神遣士という立場で世界を見守っていました。今はその力もほぼ失い…、全能ではありませんが…、莉羽の手助けをして、これからの戦いに臨んでまいります。」そう言って、深々とお辞儀をして続ける。


「ファータの兵団とは、編隊の構成、作戦を立ててまいりましたので、是非シュバリエの方々ともお話しさせていただければと。」


「なんということだ。莉羽のお母上、そして前神遣士でいらっしゃいますか…。これは何という無礼を…。大変失礼を致しました。」王は、母の過去など、想像だにしなかった話に驚きが隠せない。


「それは昔の事です…。お気になさらないでください。」母は少し微笑んで言う。


「…。」国王は少し困惑しながら続ける。


「わが国の騎士団は、総数35万ほどかと…。編隊、作戦に関しての軍議は我が国の騎士団長、全兵長を招集しますので数日かかると思いますが、それまでお待ちください。フィン、全土の全兵団長に直ちに招集を。それと…、1時間後に王宮内の全ての長を門衛棟に招集させてくれ、私も出る!」


今気づいたのだが、シュバリエ王の言葉に重みがあるのは、低く響くイケボというのももちろんあるとは思うが、声の抑揚がその言葉の持つ意味に深みを持たせてるからなのだと気づく。一国の王たるもの、その言葉の意味にどれほどの思いを乗せられるかで、国民の心の在り方が変わる。それを熟知した話し方なのだと今更ながら気づかされる。


「はっ。」フィンが大声で応える。


「ところで…、今宵、皆さんは、何かご予定はありますか?」王は私たちに尋ねる。


「兵たちは、こちらに来るまで戦火の中に居りましたので、彼らには十分な休養を与えたいと思います。私たち3人にはとくにはありません。」莉亞がそう伝えると、


「分かりました。では、今宵、宴をご用意しようかと思いますが、皆さんいかがですか?」王は、やわらかい口調で私たちを招待する。度重なる衝撃的な出来事に、心も体も疲れ切った私たちにはとても嬉しい招待で、全員が王の心遣いに感謝し、快諾する。


「お心遣いありがとうございます。皆、喜びます。」私は、にこっと笑って応える。


「それはよかった。では門衛棟での会議のあと、その詳細をお伝えしますので…。」


 王はそう言って微笑みながら部屋を出る。


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