【第11夜① ~シュバリエに大移動~】
コンラードの合図、莉亞の術によって、私たちはシュバリエに飛んだ。
莉亞の力は私たちの想像をはるかに超えていて、いつの間にか私が行き先を設定しなくても移動可能になり、しかもファータの王宮に集まっていた兵士、総勢5万も一緒にシュバリエに連れてきていたのだった。
突然の大兵団の出現に驚いたシュバリエの民は騒然となり、その中に私の姿を見つけた騎士団長フィンにより、この場が収められることになる。
「それにしても莉羽。すごい人数連れてきたな。」フィンは興奮しつつ、なんだか気だるそうに話す。いきなり大人数で押しかけたので、フィンが面倒に思っているのかと私は感じ、
「ごめんなさい、フィン団長。ちょっとピンチに陥って…、私もここに来れるのは、数人だけかと思ってたんだけど…、仲間の力が想像以上で…。急遽、連絡もなくみんなを連れてくることになってしまって…。でも、心強いですよね?この人数。しかも、みんないろいろな力の保持者なんですよ!」私が謝りつつも、どや顔で話すと、
「ほんとか?それは楽しみだな…。いやしかし、これだけの数には…、ほんとに驚いた。ありがたい…。」徐々にフィンのテンションが下がっていくのが明らかに見て取れる。
「団長、なんだか疲れ切ってるように見えますけど…、何かあったんですか?」私が心配そうに聞くと、
「そうか…、この様子じゃ、見て分かるよな…。莉羽達がいない間に、突然魔獣たちが増え始めて。しかも今までの魔獣と違って、強いのなんのって…。」フィンは心なしか、少し瘦せたように見える。
「そうなんですね…。以前よりも、邪悪な気が漂ってるのはそのせいですか…。」
「ああ、多分。」そう言うと、元々負けん気の強いフィンは、疲れて切っているように見えると言われた事が自分の中で許せなかったのか、突然テンションを上げてくる。
「ところで…、この大人数、どこの星から連れてきたんだ?どんな力を持ってる?強い?」まあまあ長い付き合いなので、フィンが頑張っているのがよく分かる。まあ疲れていても、彼の好奇心は留まることを知らないのも事実だが…。
「ええ、かなり…。でもとりあえず、そこら辺の話は、王にお伝えする時に一緒に報告しますね!」私たちは王の間に向かおうと歩き出す。
すると、
「おい!なんだよ!いま教えてくれよ!おーい、莉羽!」
ふてくされながら私たちの後をついてくるフィンはとても可愛いと思いながら、私と莉羽は先を急ぐ。




