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【第10夜⑯ ~12支人~】

私の声に全員が、


「御意!」声を上げる。莉亞が私たちの周りを覆う結界の位置を後方に修正しようと祈り始めると、その動きを察知したのか、ヴァランティーヌの一味の動きが突如止まり、一斉に振り向く。彼らの動きに私たちの中に緊張が走る。


『しまった。遅かったか…。』思わず声が漏れる。


そして、フードをかぶっていた全員がゆっくりとフードをはずし、こちらを見ている。


ヴァランティーヌ、そして見たことのある顔ぶれが…。


シュバリエ前騎士団長ロイ

メルゼブルク第一皇子クラウディス・双子姉ミディア・アーロ姉ケイト

ファータ・乳母ヴァランティーヌ

アースフィア・父宮國京夜

見知らぬ女1人の7人を最前列にして、全員がこちらを挑戦的な目でこちらを見て、ほくそ笑んでいる。


「あなたたち…だったの…?」


 私と莉亞は、その光景が嘘であってほしいと胸が締め付けられるような思いの中、涙をこらえ必死に声を振り絞る。


「なんで…、ミディアまで?」私と莉亞はその場にしゃがみ込んでしまう。


「なんで…、どうして?」


 私と莉亞の反応を楽しむかのように、クラウディスが笑いながら話し始める。


「莉羽。泣いてるのかい?ハハハハ、もう始まるんだよ。泣いてる暇なんかないよ。僕たちの準備はもうすぐ整う。そうなったら…、残念だけど…、君たちに勝ち目はない。僕たちにはあのお方がいるからね。絶望から僕たちを救ってくれる、我らの神がね…。


遅くはないよ、今ならまだ間に合う。さあ、このまま一緒に行こう。神も君のことを待ってるよ。ねえ、莉羽。」クラウディスが私の手を取ろうと近づいてくる。


「やはり罠だったか…。」小声でコンラードが呟くと、


「なに?僕たちが逃げてるとでも思ったの?ハハハハ。ふざけないでよ。僕たちは12支人だよ。君たちとは違うんだよ。僕たちは特別なんだ。選ばれしもの。」クラウディスが答える。


「12支人?」私はそう言って、ゆっくり顔をあげると、


「クラウディス、しゃべりすぎだ…。」ロイが制する。


「待って!12支人って何?」私は何とか情報を手に入れようとするが、


「あ~、怖~い、怖~いロイさんに怒れられちゃったからもうおしまい。さっ、一緒に行くか、戦うか決めて。莉羽。」


そう言って、にこっと笑って話しながらも魔法を準備していたクラウディスは、私をその誘引魔法で連れ去ろうとする。


私がクラウディスに引き込まれそうになった時を見計らって、


「莉亞。未だ。」コンラードが、莉亞に小声で合図する。次の瞬間、私たちはその光の筋から瞬間移動していた。


※※※


今の今まで目の前にいた私たちが、一瞬にして目の前から姿を消し、その場にただ1人残されたクラウディスは、


「ちっ、逃げられたか…。」と天を仰ぐ。


「1人で何を言ってるの、あの人?逃げちゃったよ、みんな。」ミディアはケイトの手を握り、クラウディスの言動を見て、不思議そうに話す。


「確かに…、あのお兄さんは、1人芝居が好きだからね…。」ケイトは優しく答える。


「いいのよ、あの人は好きにさせておいて。」ヴァランティーヌが続く。


「そのうち、ラーニー様からお言葉をいただくことになるだろうな…。」響夜のダメ押しの一言で話が終わる。


 自分が話題に上がっている事もつゆ知らず、


「莉羽、こっちに来ないかな~。そうなったら僕ももっとやる気出るんだけどなぁ…。」


クラウディスは未だ天を仰いだまま、次こそは!と拳を握る。


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