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【第9夜㉑ ~全ては金次第~】

 全員の簡単な自己紹介が終わり、今後の話を進める私たち。


「皆さんありがとうございます。これからよろしくお願いします。私たちはまだまだ未熟なところばかりで頼りにならないけれど、強い気持ちは持ち合わせています。そんな私たちを皆さん、どうか支えてください!」私の言葉に全員が頷く。


「ここからはこの先のことについてお話ししますね。先ほどお話した兵団長コンラードの故郷のアランドルでは、まず16年前の団長一家の状況について聞き込みをすること、また拉致の現状調査、残っている村民の異能の力の確認を目的としています。イザーク同様、能力者を多く輩出している土地なので、その方たちの協力を得られればと…。ここまで何か質問はありますか?」私が説明すると、難しい顔をした師団長が、


「私とジルヴェスターはある程度の事は把握しています。しかし、この3人にもう少し詳しく教えていただけますか?莉羽様の挙式で起きたことについては聞いていますが、敵の正体、目的を…。」皆の代弁をする。確かにファータの集会所では必要最低限の説明しか出来なかったので、それは当然の事だった。すると莉亞が私の方を見て頷くと、


「私が説明しますね。突然の出動だったんですものね。説明もざっくりで…、申し訳ありません。実は、私たちもはっきりと分からないことばかりで…。ですから、あくまで推測の話にすぎませんが聞いてください。」ゆっくりと話し始める。


「まず、戦いの目的。ここ数か月で起きている拉致事件の犯人を捕まえ、拉致された人々を救い、この星の人々の安心できる生活を取り戻すことです。そしてこの星の平和に必要なエルフィー皇子の奪還。そのために倒すべき敵ですが…、実はまだ分かっていません。ですから、こちらに攻撃を仕掛けてくる相手は…、敵とでも言っておきましょうか…。」ここで莉亞が心層で話しかけてくる。


『他の星の事とか、莉羽が神遣士だとか、敵にも神と呼ばれる人がいるとか、そういう情報はあえて伏せておくね』


『うん。私もその方がいいと思う。混乱も招くし、万が一この中に敵がいたら…。それは様子を見ながら徐々に話していこう…』


私が不安げに話すと、


『まさか…、それは考えたくないことだけど、あり得なくはない話だよね。この後の話も任せて。』


『よろしくね、莉亞。』


するとアガーテが、

「昨夜の話では、今回の戦いがこの星の精鋭を集結させた戦いとのことだったので、それなりの報酬を期待してまいりましたが、敵の正体も分からないとなると、具体的な報酬額の話にはなりませんね。報酬額が確定しない戦いなど、命を懸けるに値しない。悪いけれど、私はここで降ります。」アガーテが席を立とうとする。


「待て。お前はここまで来て降りるのか?敵の正体が分からずとも、王女自ら出られる戦いならば、戦士たる者、出ないという選択肢は無かろう?お前がここまで金の亡者だったとはな…。」ポルトスが吐き捨てるように言う。


「ふんっ。未曾有の戦という割に、敵も分からぬでは勝算が読めぬではないか…。私はお前と違って、師団にも属していない。戦う理由が違うのだ。全ては報酬次第。それの何が悪い?確実に報酬が得られぬ戦いはやらん質でな。」そのまま部屋を出ようとするアガーテに、


「分かりました。アガーテさん、言い値であなたを雇います。それでよろしいですね?」アガーテは莉亞の顔を見て、


「さっすが、わが村の救世主様は物分かりがいいお方で…。」と言って、不敵な笑みを浮かべながら席に戻る。


「では、アガーテさんとの交渉は後程ということで…。


 早速、具体的な行程や作戦、王宮に入ってからの行動については、これから詰めていきたいので、何か意見があったらその都度言ってください。」


 話は深夜にまで及んだ。


 アガーテは、町長宅でもてなされた料理に使われた少量のお酒に酔ったのか、少しは打ち解けた感があるものの、私たちに対する彼女の警戒心が無くなったわけではなかった。


 ここまで気も強く、能力も高い女戦士でありながら、めっぽう酒には弱いという話のアガーテの、酒に飲まれた姿をいつか見てみたいと思う私と…、こっそりそう思っているゲルドとポルトスだった。


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