【第9夜⑳ ~新しい仲間②~】
【前回より】
「さてさて、では皆さん、簡単でいいので自己紹介をお願いしたいです。お名前も分からず、なんとお声がけしたらよいか…。」
莉亞が困り顔で提案する。するとエドヴァルドはおもむろに立ち上がり、
「はい。ではまず私から…、正式な自己紹介をしておりませんで、大変失礼いたしました…。私はこの地域を統括する王兵師団長エドヴァルド、年は26です。アビリティの比率は攻撃7、護り3です。レベルは、8です。」
生真面目の典型とは、この男の事を言うのではという位に規律と礼儀をしっかり守る男で、かと言って、融通が利かないかと思えば、そういう訳でもない。とても感じが良く、男らしいが、笑顔がとても柔らかく優しい。身長は195センチほど。少し癖のあるキャメル色の柔らかい髪は全体的に短く切りそろえられ、清潔感がある。目元はやや垂れており、ファータ人特有の左右で違う瞳の色、向かって右目が青、左目が紫の瞳で、にっこり笑うとその人の好さが感じられる、所謂好青年である。
「よろしくお願いします。エドヴァルドさん。」2人、声を合わせる。そして続いたのは、その弟ジルヴェスターだ。
「私は副師団長ジルヴェスター、23。アビリティは8の2。レベル8です。」
寡黙とは彼のような人を表す言葉だと思うくらいに落ち着いた雰囲気を醸し出し、兄のエドヴァルドと違い、そう簡単には笑顔を見せない男だ。身長はエドヴァルドと変わらないだろう。背中まで伸びたストレートのシルバーの髪は、美しく輝くミステリアスな印象で、センター分けされた前髪を掻き分ける度、サラサラな髪が美しく揺れるその様は、世の女性も羨むほどだ。また、色白できめが整った肌、長いまつ毛、エドヴァルドとは逆の瞳の色、右が紫、左が青がよりミステリアスな雰囲気を演出している。
『陰と陽の印象をそれぞれに持つ、かなり顔面偏差値の高い兄弟』
これが2人に対する私の第一印象である。先日村長からも聞いた話ではあるが、彼ら兄弟のしがらみが、ここまでの性格の違いを生んでいるのだろうと感じる。しかし、この時の私には、その背景が想像以上に複雑で、難しいものとは全く知る由もなかった。
兄弟が話し終えると、隣に座っていたスリムな男が手を上げて話し出す。
「私は、ゲルド、26歳です。普段は師団長の下についています。アビリティは、攻撃6、護り4で、レベルは6です。」
すらっとした体格、目元がすっきりしていて一見神経質そうに見える。身長は175センチ位だろうか、隣の大男がいるせいで少し小さく見えてしまう。瞳の色は、右目が黄色、左目が緑、ストレートで藍色の髪は肩より少し長く、それを編み込んで一つに束ねている。
「私はポルトスといいます。副師団長のもとについています。アビリティは8の2。腕力には自信があります。レベルはゲルドと同じく6です。」
がっちりした体格で、一見怖そうな雰囲気。というのも、前回会った時も臨戦態勢を取っているかのような雰囲気を感じたからだ。しかしそれは、強面の顔立ちのせいで、実際話すとその性格が見た目と真逆な事が分かる。瞳の色は右目がオレンジ、左目が茶色で、髪はカーキ色で短髪、頭頂部は少し長めでツンツンと立たせている。腕は太く、私の太ももほどの太さがありそうに感じた私は、無意識に自分の足と彼の上腕二頭筋を見ながら比較してしまう。それに気づいたポルトスは、にこにこしながら自分の腕を私の足と同じ高さに持ってきて、
「太いでしょう?」と笑っている。
私が恥ずかしさで顔を赤くしていると、莉亞が笑いを何とかこらえようとしているのに気付く。
『こら、笑うな!』私は心層で莉亞を怒るが、まだ莉亞はくすくす笑っている。
最後に、そんな私たちを横目に、紅一点の女性が話し始める。
「私はアガーテ。アビリティは5の5。レベルは7。よろしく。」
印象はクールビューティー。想像通りマントの下には、細身ではあるが豊満な胸、引き締まったウエスト、すらりと長い腕と足が隠されていた。右目がシルバー、左目が紫の瞳で、髪は外側が黒、内側が赤に染められている。もともと目鼻立ちがはっきりした顔立ちに、その個性的な髪色、スタイルも抜群な上、一緒にいる2人の男よりも異能のレベルが高いとなると、いろんな意味で太刀打ちできる男はこの世にそうはいないだろうと感じる。少し近寄りがたいイメージはあるが、唯一の弱点というべきか…、お酒が飲めないという可愛い一面も持っているようだ。




