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【第9夜⑮ ~父、国家王兵団団長~】

「何?」私はそれを覗き込む。すると手の中には、村長の手のひらに乗っている石と全く同じ真紅の石が真っ赤に光っている。


「莉亞、これは…?」私は驚き目を見開いて尋ねる。


「実はさっき、崩落が起きる直前、莉羽を抱きしめたでしょ?その時に手がものすごく熱くなって…、崩落の直後に、突然この石が手の中に現れたの。何が何だかわからなくて、この袋の中に入れていたんだけど、村長さんが石のかけらを出した時から、この石が熱くなって…。袋の中を見たら、真っ赤に光っていたの。」そう言って莉亞が村長やエドヴァルドにも石を見せる。それには村長も目を丸くして驚き、


「おお!同じ石が現れたとは、なんと素晴らしい事だ…。莉亞様が姫様の妹君ということは…、姫様同様強大な力をお持ちなのでは?姫様と皇子のお力と、さらに石の力と莉亞様のお力が加われば…、この国の未来に怖いものなし!この国に再び光をもたらしてくれましょうぞ。」村長は興奮のあまりむせてしまう。私は村長の背中をさすりながら、


「話はこうね?莉亞はアースフィアの母のお腹の中から生まれ出る時にこの村に転移し、村長に保護された直後、突然現れた王兵団団長に王宮に連れて行かれる。莉亞の転移の際、莉亞と共に現れたこの石が、この村の者に力を与え、村に繁栄をもたらした。ここまでが事実ね。これ以降は私の憶測…。」すると莉亞がそれを遮るように、


「莉羽。でもね、私はその時、王宮には行っていないと思うの。」


「なぜ?」莉亞の言葉に驚いた私が尋ねる。


「さっき過去の記憶が脳内に流れてきたとき…、私は団長によっておそらく…、団長の家に連れていかれてる。それで…まだ話していなかったかもしれないけれど…、私のこの星での父親が…、その王兵団団長なの…。」莉亞は自分でも驚いているようだった。


「えっ?どういうこと?じゃあ、団長は国王の命に反して、あなたを自分の子供として育てたってこと?」私はあまりの驚きに声がひっくり返る。


「多分そういうことなんだと思う。父の話によると、私が初めて王宮に行ったのは3歳の時。それまでは、故郷のアランドルから出たことは一度もないの。でも、父が王の命令に反して、なぜそんなことをしたのかは分からない。」莉亞は自分を愛し、育ててくれた父親の行動が理解できず、目に涙が溢れている。私は、そんな莉亞を抱きしめて、


「莉亞。おそらく、それには何かしらの理由があるはず。でも、どんな理由があるにせよ、団長があなたを心から愛したことに疑いの余地のないっていうのは、あなたのその苦しそうな表情から分かる。なぜ『心王』と呼ばれるほど、民の幸福を第一に考える国王の命に反してまで、あなたを自分の手元に置いたのか、本人に聞くのが一番だと思わない?」

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