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【第9夜⑭ ~赤い瞳の赤子と赤い石~

村長の含みのある話に私はすかさず問う。


「何が起きたんですか?」


神妙な面持ちで村長は続ける。


「その直後から、この村の者たちに、今までになかった力が目覚め始めたのじゃ。そのおかげで…、以前から、高度な異能の力を持ち合わせている者が多い村ではあったんじゃが、それを境に一気にその数が増え、村はその力を使って栄え、潤った。私たちの繁栄はその石のお力だと、16年経った今でも大切にしておるのじゃ。」村長はそう言うと、自分の後ろにある箱から何かを出そうとし始める。


私は思うところあって、それを横目で見ながら、


「そうでしたか…。赤い髪と、真紅の瞳…。」私は莉亞を、ちらっと見て、


「莉亞。もしかしてその赤子って…。」すると、莉亞が待って!というように手を出し、


「確信はないですけど…、村長さん。その石を見せていただくことはできますか?」村長に尋ねる。


「もちろんです。」村長はそう言って、待ってましたと言わんばかりに箱から出したものを掌に乗せる。それは真っ赤な小さな石のかけらだった。莉亞がそれに触れようとすると、石が突如光りだす。


「おお、これは!」村長は目を輝かせる。莉亞はゆっくりその石を手に取ると、光がさらに強くなっていく。


「石の力と莉亞の力が共鳴しているわ。」


私はその光に温かさと心地よさを感じるが、私以外の人たちは直視できないようで目を固く瞑っている。


「莉亞様はもしや?」村長はいつになく興奮している。


「今の石の共鳴で確信しました。16年前にこの地に現れた赤子というのは…、莉亞のことです。」私は断言する。そして、それを聞いた村長が、


「おお、なんということだ⁈私たちが探してきたお方…莉亞様あなたが…。」と言って顔を手で覆って泣き始める。


「村長さん。この石に触れて…、過去の記憶が頭の中を流れてきて…、確信しました。莉羽の言う通り、その赤子というのは私の事で間違いありません。村長さんにお礼を言わねばなりませんね。私を保護して王兵団の団長に委ねてくださったこと、感謝いたします。そして石のかけらを大切にしてくださったこと。石も感謝しております。この石はこれから始まる戦いでこの村を守ってくれるでしょう。これからも大切にしてください。」莉亞は何かに目覚めたかのような口調で穏やかに話す。


「分かりました。大切にいたします。それにしても…、まさか…、奇跡のようじゃ。」村長はさらに大粒の涙を流しながら話す。


 私が莉亞に笑いかけると、莉亞も私に微笑み返し、


「ねえ、莉羽。見てほしいものがあるの。」真剣な眼差しで私を見る莉亞はそう言って、小物入れから何かを取り出す。



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