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【第9夜⑪ ~エドヴァルドの能力~】

 急いで村に戻った私たちは目の前の光景に驚く。集会所の前に、村人全員?と思わせるほど多くの村民が出迎えてくれたのだ。私は手を振って皆に応える。


「姫様、莉亞様、ご無事でよかったです。」村長は安堵の表情を浮かべ、


「ご馳走はたくさん用意してございます。今宵はゆっくりなさってください。」そう言うと宴の準備を早めるよう指示を出し、その後、


「ここに集まった者たちに一言よろしいでしょうか?」と小声で確認する。私は笑顔で頷き前に出て、


「皆さん、お出迎えありがとう!無事戻ってきました。妹の莉亞と共に、しばしこちらでお世話になりますね。よろしくお願いします。」そう言って手を振ると、その場は一気に人々の歓声で溢れる。


「ありがとうございます。皆、ここで姫様の無事を祈っておりました。先ほど大きな音がしたので、また崩落したのではと心配していたところだったので…。

ささっ。中に入りましょう。」そう言って集会所に入る様に促す村長。


※※※


「村長、実は師団長にはお伝えしたのですが…、崩落場所で、滑落した方たちのものと思われる生体反応を感じました。師団長がこちらに戻る途中に、捜索隊に指示を出し地割れの中に送り込んでくれています。

 滑落した兵士の中に、村長のお孫さんがいらっしゃると聞きまして、直ぐに確認したところ、お孫さんもその仲間の方も全員無事との事でした。ですからご安心ください。」私が話し終えると村長は、


「まことですか?あの地割れの中に落ちたと聞いた時、すでに孫の事は諦めておりましたが…、まさか生きているなんて。本当に夢のようです。姫様、ありがとうございます。心から感謝申し上げます。」村長は大粒の涙を流しながら私の手を取り、この上ない感謝を伝える。


「本当に良かったです。でも、最初に生体反応に気付いたのは莉亞なんです。私は生存を確認したまでです。それ以上は何もできず…。」私は頭を下げる。すると村長は慌てて、


「おお、そうでしたか!莉亞様、ありがとうございます。」莉亞の方を見てお辞儀をし、そして続ける。


「生存が確認できただけで、もうこれ以上望むことはありません。姫様、どうか頭をお上げください。今宵はこの地方の酒、料理を飲んで食べて、ゆっくりお休みください。」


 するとその後ろからエドヴァルドが現れ、私たちの目の前に座る。


「姫様、戻られて早々大変申し訳ないのですが…、お食事を召し上がりながら、先ほどの話も含め、今後の事について軍議を執り行いたいと思っております。いかがでしょうか。せっかくお越しいただいたというのに、ちゃんとしたおもてなしもせず、軍議など…、本当に申し訳ございません。」誠実で律儀なエドヴァルドが頭を下げる。


「はい、私もそのように思っておりました。ただ内容に重要機密が含まれています。出来れば軍議の前に私の話を聞いてもらえればと思います。」真剣な顔で話す私を見て、


「承知しました。ここはお食事の準備等入りますので、あちらの特別室に移りましょう。」


※※※


 その部屋が特殊な力で守られていることは容易に分かった。それまで食事の準備で騒がしい所内だったが、その部屋に入った途端、一切の音が聞えなくなった。


「この部屋は、空間の隙間に存在しています。通常の空間とは異なるため、外からの干渉を一切受けません。しかし、私の未熟さ故、時間的制限があります。ここでの滞在は1時間が限度です。ご了承ください。」エドヴァルドは心苦しそうに話す。


「そんなすごい力をお持ちなんですね?空間を操る力…、魅力的です。私の旅に、是非その力を貸していただきたいくらいです。」私は目を輝かせる。


「旅?と言いますと?」エドヴァルドは不思議そうに尋ねる。


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