表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/494

【第9夜⑨ ~地割れ発生地~】

 地割れ発生地は村の集会所からほど近い、カランドリアの栽培地の中に突如現れた。急な上り坂の途中のため、勢いをつけて上っていくと地割れがあることに気づかず落下してしまうだろう。実際、数人が吸い込まれるようにして…、命を落としたらしい。


「姫様、お気を付けください。ここも地割れから数m離れているとはいえ、いつ崩落するかわかりませぬ。」地割れ当日から、この付近を調査している師団兵が話しかける。


「先ほどから何度も危険だと言われてここまで来ましたが、どうしてもこの先を見てみたいのです。エドヴァルド、お願いします。」


 私は凱の事を考えると、その地割れの先がどのようになっているのか確認せずにはいられなかった。私の懇願する表情に少し戸惑うものの、エドヴァルドは、


「姫様の思いは伝わってはおりますが…、大規模な地割れ当日から、少しずつ崩落の場所が広がっているのです。命綱をきつく巻くことをお許しください。そして時間も3分までとさせていただきます。姫様にもしものことがあったら…。」


「分かりました。ありがとう。私もここで死ぬわけにはいかないので…。しっかり結び付けてくださいね。」


 魔法とか能力を使えば大丈夫なんだけど…と思いながらも笑顔でそう言って馬を下り、ロープを体に巻き付ける。


 そして一歩一歩その地割れに近づいていく。その間、後ろから、


「まさか姫様とあろうお方が、こんな危険な場所まで見たいと言われるなんて…。」

「未知の力をお持ちだとは聞いているが、こんな場所までお連れして大丈夫なのか?」

「しかし、言っても聞く感じじゃなかったぞ。何があっても見たいって感じで、師団長も困り果てた様子だった。」


ひそひそ話しているつもりなのだろうが、地獄耳の私には、団員たちの声が全て聞こえてくる。


しかし、私はそんなのお構いなしに進んでいく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ