【第9夜⑦ ~イケメンがもう一人⁈~】
「私は、先日姫様とエルフィー皇子のご婚礼の儀に参列させていただきました。その際、私の目に映った姫様の髪の色は明るい茶色でしたが、今の姫様の髪色はどう見ても赤に見えます。そして、隣にいらっしゃる、莉亞様の髪色も同じく赤く見えます。
それで気になることがございまして…。地割れの調査後に、是非ご同行願いたい場所がございます。よろしいでしょうか?」師団長は神妙な面持ちで話す。
私が視線を莉亞に向けると、彼女はゆっくりと頷く。私もニコッと微笑んで頷く。
「もちろんです。その場所に連れて行ってください。そして…髪の色なんですが…訳あって2人とも赤くなってしまったんです。」その返答に、師団長も顔をほころばせ、
「そうですか。その理由を…、後程お聞かせいただければと思いますが…。」
「地割れの調査が終わったらお話ししたいと思います。それで大丈夫でしょうか?」
「はい、もちろん。ありがとうございます。では…、直ちに出発の準備を始めます。それまでこちらでお待ちください。」師団長は晴れやかな顔で答える。その笑顔に、
『やっぱり綺麗な顔だな。』
と私がじっと見ていると集会所の奥の方から、師団長に瓜二つの男性が現れる。
『えっ!師団長が2人ーーー⁈』私と莉亞は心層で叫ぶ。
「ジルヴェスター、団員に出発の準備を。」その男に話しかける師団長エドヴァルド。
「どちらへ?」
「先日の大規模地割れ発生地だ。」
「かしこまりました。直ちに命じます。」
「頼んだぞ。」師団長はジルヴェスターにそう告げると、私と莉亞の疑問に笑顔で答える。
「驚きましたか?そっくりですよね…。
あれは私の弟です…。彼が現れた途端に、お2人の目が丸くなって…、こちらから見ていて面白かったですよ。」師団長は笑う。私は慌てて、
「ごめんなさい、師団長。髪型が違うだけで、顔は瓜二つなんですもの、それは驚きますよ。あっ、失礼なことを言ってしまって…。」と言うと、
「いえ、皆、口を揃えてそう言いますから慣れています…。自分でもそのように思っていますし…。」少し苦笑いをして続ける。
「彼は私の3つ年下という理由で副師団長になりましたが、剣の実力は私よりも上をいく実力者です。」
「そうですか…。兄弟で守っていらっしゃるこの地域の民は、さぞ心強く思っていらっしゃるでしょうね。」私は微笑む。
すると莉亞が、
『イケメン×2になったけど、私たちには、もっとイケメンな2人が傍にいる事…忘れないでよ!』と心層に念押ししてくる。
私はうんと頷き、エドヴァルドを見ると、
「もったいないお言葉、ありがとうございます。では準備が出来次第、こちらを出ましょう。しばしお待ちください。私は様子を見てまいります。」そう言って、エドヴァルドは集会所を出て行く。




