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【第9夜① ~ファータから始まる凱なき戦い~】

 ファータの王宮に降り立った私たち3人は、国王である父ルドヴィク13世に謁見する。


 次にここを訪れるときは、前回話さなかった全ての事実を話すことに決めていた私は、順を追って国王に話し始める。国王は、にわかに信じられないというような顔をしているが、話が進むにつれて深刻な表情に変わっていった。


「これが、今、この星を含めた5星に起きている現状です。」


「この前ある程度の事は聞いていたが、まさか…、そんなことになっていたとは…。これから私が出来得る協力、支援を考えていかねばならぬな…。


しかし…、この短い間にかなりの能力の解放をみたのだな、莉羽。そなたから感じる力がさらに強くなっておる。神遣士か…。わしの想像を超えておったわ…。」


「申し訳ありません。前回は、必要最低限の事しかお話しできず…。どのようなタイミングでお話しするか考えておりました。それで…、ここにいるのが…。」と言いかけたところで、母が前に出て、


「国王。お目にかかれて光栄です。わたくし、アースフィアにおける莉羽の母莉月と申します。そして、回生前、神遣士エルフィシアでありました。」


 もとより綺麗な顔立ち、他に類を見ない優雅さと気品を兼ね備えた母は、乳母ヴァランティーヌにより用意された、体のラインが強調され、背中があらわになっている、かなりセクシーなドレス、また髪を上げて、しなやかな曲線を描く首筋、その耳元には大きな宝石をあしらったイヤリングをつけることで、その美しさがさらに際立ち、見る者の目を奪った。


「おおこれは…なんと、お美しい。莉羽の異国での母上で、前神遣士でいらっしゃったとは…。その力はご健在なのですか?5つの星を巡る戦いが始まるとのこと、そのお力を是非お借りしたいところでございます。」国王は、母の美しさに魅かれつつも、前神遣士の前に少し緊張しているようだ。


「力は…、神遣士であった頃とは比較にならないほど弱いものです。しかし、回生前において、私のバートラルであった凱が、私の力をほぼ引き継いでおります。娘莉羽と共に、必ずやその力をこの世界のために尽くしてくれると信じております。」


「そうですか…。しかし、その凱殿の姿が見えぬようですが…。」王はそう言って辺りを見回す。


「はい。凱は今、他星にて調査を行っております。大口をたたいた後で恐縮ですが、戦いの要となる凱不在の状況での戦闘も、想定しておかねばという状況です。」母は平然と嘘をつく。


 私は一瞬母の顔を見るが、母はにっこり笑って、


『大丈夫』


 心層にそう語りかけてくる。私は母に何かしらの考えがあっての事だと、王と母の話に耳を傾ける。


「そうですか…、凱殿が…。彼の戦力に頼れないとなると…、厳しい戦いになりますね…。」王は肩を落とす。


「はい…。そこでこの状況下で戦うために、1つ提案をさせていただきたく思っております。民の能力把握の後に、王兵団の隊の再編成を行いたいのですが…、国王のお許しをいただけますか?」母が微笑みながら王に嘆願する。


「もちろんですとも。すぐさま招集をかけ、数日中に民の能力把握と隊の編成を進めましょう。しかし…、あの村の者は難しいか…。」王が引っ掛かる言い方をする。


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