【第8夜② ~頼もしい妹~】
翌朝、莉亞は、昨夜私に話そうとしていた作戦を説明する。
「まず、私の故郷、ファータに行こう。すぐにでも戦力になるのは、多彩な能力を持つファータの民だと思う。民のほとんどが莉羽を崇拝しているし、万が一の事態に備えて戦闘員が多いほうが何かと好都合じゃない?
前回集まってもらった多くの民が、あのまま王都に残ってくれていたら…、あの絵を教えてくれた巨人さんたちにもお願いして、民の能力を確認してもらう。それから、ファータの王兵団を何隊かに分けて、それぞれ戦力的にバランスよく振り分けて…、ファータの要所に配置する感じ。
で、私たちだけど…、私と莉羽の力は完全には解放されていないから、味方がたくさんいるところであれば、少しは安心してそれぞれの力を強化することができるじゃない?そこでまず力と機動力を得る。どう?」
私は目をキラキラさせながら、
「莉亞、頭いい!昨日までとは別人みたい!!」私がはしゃいでいると、その横で、もう1人はしゃいでいる人がいる。
「ほんとに!やっぱり私の娘よ!容姿端麗!頭脳明晰!もう言う事無し!」
母は感激して、莉亞の手を握って喜ぶ。
「さっ、じゃあ出る準備しよう!」莉亞は喜ぶ私を促す。
「えっ?もう?」私はあまりの速さに驚く。
「善は急げだよ!莉羽。」
莉亞の、にこっと笑うその笑顔に心強さを感じ、凱無しでどう戦うか不安の塊だった私はどれだけ救われたか分からない。
出発の準備をすると言ったは良いものの、準備と言えど必要な用意は特にない。ただ、私は凱からもらった御守りの結晶と、なぜ持っていこうと思ったのかその時は分からなかったけれど…、莉奈が体調を崩し始めたころに撮影した家族4人での写真も持っていく事にする。
「いざ向かわん。ファータへ。」私と莉亞と母莉月は、手を取り合って祈る。




