【第6夜⑦ ~メモ紙の謎~】
【前回より】
「あっ。そういえば…。」
私は聖なる泉の帰りに、凱から渡されたメモ紙を思い出し、ポケットから取り出す。そこには一目では何のことか分からない抽象的な絵が描かれていた。
紙の一番上に何かを塗りつぶした跡が、その下は中央から縦半分の所に線が引かれ、両側に12個ずつ○が描かれていた。
「これは何の絵かな?そもそも…、この絵について凱から何も聞いてないんだけど…。」
『こんな重要なことを伝えないで、莉奈と出掛けるなんて』なんだかむしゃくしゃして怒る私。
「この絵の一番上の、塗りつぶされている跡も気になるけど…。真ん中から線対称で同じように〇が描かれてるのが何なのか?あと、12っていう数よね…。12で何か思い出せそうなんだけど…。」
母は一生懸命思い出そうと眉間にしわを寄せて考えている。
「この絵に似たものを王宮で見たことがあるような…。12の数字も…。」莉亞も思い出そうと必死に考え込んでいる。私も莉亞の「王宮で」の言葉にシュバリエ、メルゼブルク、ファータの王宮を思い出す。
「12…12…。ん?」私はふと思いだす。
「ねえ、莉亞。ファータの王宮の肖像画、わかる?」
「うん。あの大きい絵だよね?」
「そう!あの絵の脇に、これと似たような絵が飾られてなかった?それで、この〇の所はファータの壁画では人間が描かれていて、その人たちの手の部分に石が埋め込まれてたような…。違ったっけ?」
「あっ、確かに!緑とか青とか…。」
「そう!私、小さいころに数えたことがあるんだけど、12個あった…。だからそれに気づいた時に、この絵は時計も兼ねているのかと思ったんだよね。で、この絵で塗りつぶされてるところに、誰か分からないけど人物画が2人、描かれていたような…。あれ~、他の王宮にもあったような気がするなぁ。どうだったかなぁ…。」私も頭をフル回転。
「ファータ以外は分からないけど、言われてみれば確かに…。だとして…、この絵との関係は何だろう…。」莉亞は考え込む。
すると、しばらく考えていた母が、
「今度ファータだけじゃなくて、他の星の王宮でも確認しなくちゃね。何かしらの意味があることは間違いないと思うけど…。」




