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【第6夜① ~支配者~】

 莉亞と私の連携移動術によってメルゼブルクを後にし、光路の導きで家にもどる私たち。


 その間、私の脳内に再び双子の祖父と名乗ったあの老人の負のオーラを纏った声が響く。


「この先、お前が導いた災厄がこの世界に恐怖をもたらす。


まずは、お前たちの想像をはるかに超える未曽有の戦いが起きるだろう。


どう抗おうが、結末は決まっておる。


多大な犠牲を払う事態が起きるその前にやめるのだ。今すぐ。


呪われし運命に世界の民を巻き込むな。」


その言葉を最後に老人の不気味なオーラが消える。



 アースフィアの自宅で、母が私たちの帰りを今か今かと待っていた。メルゼブルクでの出来事、得られた力について話す私と凱と莉亞。しかし、私は先ほどの老人の言葉と怒りに満ちた声が脳裏から離れず落ち着かない。


『呪われし運命』


心にのしかかるあまりにも重たい言葉。自分に課せられた使命の重さに、改めて心が押し潰されそうになる。私の額から大量の汗が吹き出ている事に母が気づき、


「莉羽。どうしたの?その汗…。」私はドキッとして、


「ちょっと暑いだけ…、大丈夫。」そう言う私を心配しながら母が話し始める。


「戦いが近いわね…。クラウディスはファータで「我らの神」って言ったのよね。私が守ってきた星々の歴史で存在したといわれる神は数えるくらい。その中でも、平和を乱す神なんて…、私が知っている限りでは「破壊神」ただ1人よ。」母が言う。


「他には?」私が聞く。


「いないわ。でも、確かに死んだと書かれてはいたけれど…、遺体について、墓についての記載はなかった…。人知を超えた美しさを持つと言う位だから…、遺体を見ればすぐに分かるはずだけれど…。もしくは、肉体が滅んだとしても魂を継承していければ…、何らかの方法で蘇えることも不可能ではないかもしれないしね…。」


「奴らが石と人々を集めていることを考えると、例えば…、魂を封印する石が存在したら、その適合者がその封印を解除して復活する…。なんて考えられる?」私は自信なさげに聞いてみる。


「なるほど…。そう考えることに無理はないわ。むしろ、それがビンゴかもしれないわね。」母は頷きながら言う。


「もしくは…、結晶を使うっていうのも、考えられないでしょうか?。」凱が母に問う。


「結晶…と言うと?」莉亞が聞く。


「メルゼブルクで魔力を解放したとき、体から放たれた光の中に結晶が生まれたんですが、バートラルとして莉羽を守るって強い思いで魔力を解放したから、その結晶にはその思いが込められていると思うんですよね。実際、その結晶はシュバリエで莉羽を護った。だから、結晶が生み出されるときに、自分の念を注ぎ込めば…、その中に封印できるんじゃないかと…。莉羽、結晶出して。」


凱が話しながら、手をこちらに向ける。


「私にくれたお守りね?」と私がその青い結晶を出すと、それを手に取って確認する母と莉亞。


「なるほど…、ということは魔力解放時に自分の力や意志を結晶に込めて、それを手にした者をある意味洗脳みたいな感じで…操ることもできるわけね?それが出来るのであれば、今現在、破壊神は自分が死んだ後その結晶を手にした者を操って、世界征服を進めているのかもしれないのね。


石、結晶、魂、念…。ここら辺が関わっていそうね…。」母が言う。


「それが可能だとして、今回の件、本当に破壊神が黒幕だとしたら、目的は何でしょう?」莉亞が問う。


「過去の戦いでの彼の目的は、この星域の支配だから…。今回も…」母が言う。


「破壊神はただ支配者になりたかったのかな?それとも支配した先に何か目的があった?」と私。


「そこは分からないの。妬み、嫉み、憎しみなどの「負」の感情に支配された彼が、何を目的として、全ての星を支配しようと戦争を起こしたのか。」母がそう言った後、珍しくため息をついた凱が静かに話し出す。


「負の感情に動かされている支配者か…。くだらないな。」鼻で笑って続ける。


「いずれにせよ、俺たちはその「破壊神」って、愚者と戦う可能性が高そうだな…。」

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