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【第5夜⑪ ~すべて赤に染まる~】

 逆さに流れる聖なる水を目前にして、少し緊張気味の私は、足を踏み入れるのに一瞬ためらうが、隣に並ぶ2つ目の泉に莉亞が躊躇なく入っていくのを見て、私も深呼吸をしてから、そっと逆流する水に手を入れてみる。すると凱の時と同じように水が左右に分かれ、私は吸い込まれるようにして中に入る。


 水の中の空間は、周りの音を一切を遮断しているのか、何も聞こえない。私は戸惑いつつも静かに目を閉じ、祈り始める。母の果たせなかった願い、この世界の平和、人が人らしく思うがままに生きられる世界、そして私自身の事も…。

 はじめは、緊張や不安でざわついていた心が徐々に落ち着き、次第に頭の中に、自分が望む世界のイメージが流れてくる。回生のない世界で、誰に支配される事なく、どの星の人々も笑顔溢れ、生を全うする姿。私は穏やかな心で満たされたまま目を開ける。


 すると、突如真っ赤な閃光が瞬き、私は再び否応なく目を瞑る事になる。しばらく目を開けることが出来ずにいると、ある映像が私の頭の中で流れ始めた。


【ピアスを手に持った人影が、ピアスに力を注ぎこむ。するとピアスが突然溶け出し、再び形を作り始め、剣を形作る。剣はやがて刃が蒼に変化し、その人影が剣を握りしめる。次の瞬間、その人影が自分に向けて剣を突き刺し、その人物は倒れこみ、辺りが血の海になる。】


 私は、衝撃の映像に驚き、死に物狂いで泉から飛び出す。


「莉羽?」突然飛び出してきた私を見た凱が何事かと驚く。周りのみんなも同様に、アーロに至っては口を開けたまま私を見ている。


「えっ?ああ、そりゃびっくりするよね…。こんな出方したら…。」私は気恥ずかしくなって、水柱の陰に隠れようとすると、隣の泉から莉亞が私と同じように飛び出てくる。その莉亞の姿に、私、そして他の仲間がこれまた何事かと驚く。


「どうしたんですか?皆さん。」莉亞がきょとんとして聞く。


「どうしたは、こっちのセリフだ。どうした?」凱が聞くと、全員に注目されて恥ずかしそうにしている莉亞だが、みんなの様子でただ事ではないと気づいたのか、


「え?なんですか?そんなにおかしかったですか?私、何か間違えた?」莉亞が私に助けを求める。


「莉亞、その瞳…、髪の色…。」私の口から思わず言葉が漏れる。


「え?何?瞳と髪の色?」莉亞は不思議そうに聞く。


するとそれに反応した凱が、


「莉羽…?お前も気づいてないのか?2人とも目と髪の色、真っ赤に染まってる。」私は驚き、縛っていた髪を下ろして自分の髪の毛の色を確認する。


「えっ?え~?赤?真っ赤?何これ…、なんで?学校行けないじゃん。ああ~、生徒指導だ~。」私が嘆いていると、


「そもそも最近学校行けてないし、問題ないとは思うけど…。心配するとこ、そこかよ。莉羽。」凱は私の様子に少し呆れ、苦笑いしている。


「だって~。赤い髪って…。」私がしょぼんとしていると、


「でも2人、髪と目の色が同じになったら、やっぱり姉妹だな。似てるよ。」凱のその言葉に、アーロが驚き、


「え~?姉妹?ほんとに?」と私と莉亞の顔を見比べて、


「ほんとだ…。似てる…。」と一言言い残し、衝撃の事実にゆっくり後ずさりしていく。


その姿を目で追いながら莉亞が、


「私も思いました。同じ髪の色、瞳の色でまさかこんなに似るなんて、思いもしなかったです。」とにこにこしながら言う。


「髪型も一緒にしたらどっちかわからないかもね~。」ふざけた私に凱が、


「それ、これからの戦いに使えるかもしれない。」と含み笑いをする。


すると突然、


「凱さん!凱さん!」突然マーガレットが血相を変えてかけよって来る。


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