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【第5夜⑧ ~導きの力~】

「これって?」


「ああ、もしかしたら入り口を示しているのかもしれない。掌に乗せてみて、莉羽。」


「うん。」私はピアスを掌に乗せ、光が差すほうに向けてみる。


「ねえ、でもどうして片方だけ光ってるんだろうね。同じ力があるなら、もう片方も光ってもよさそうなのに…。」そう言いながら、光が差すほうに少しずつ歩いていくと、泉の水が光の差し示す線を境に左右に分断され、次第に水のトンネルを作り出していく。


 陽の光が射しこみ、キラキラと輝くその先に、虹のように七色の光が見える。顔にかかる水しぶきの心地よさを感じながらトンネルを進んでいくと、


「すご~い。水のトンネル~。」はしゃいだ子供たちが、嬉しさのあまり駆け出していく。


「待ちなさい!」マーガレットは子供たちの後を追いかける。私と凱、莉亞はその様子を見て微笑み、その柔らかく、温かい空気を体いっぱいに感じながら少しずつ進む。


「奥に進むにつれて、周りの魔力がさらに上がってるよね?凱。」


「ああ、しかも強い。外で感じたものとは比にならないな。」


「この不思議な柔らかい感覚が魔力?」莉亞が眉をひそめて言う。


「莉亞も感じる?やっぱり、莉亞も魔法使えそうだね。凱。」


「そうだな。泉の力で莉亞の魔力が引き出される可能性は十分にある。莉亞は警戒しないで受け入れてくれ。」


「うん、わかった…。でもほんとに不思議な感じ…。体の内側からエネルギーがみなぎるような、体も少し軽く感じる。」莉亞は嬉しそうにしながら、戸惑っている。


「そうそう、そんな感じ。魔法使えるようになると楽しいよ。」私は莉亞に笑いかける。


するとはるか前方から、


「はやく~莉羽!」と、アーロが手を振りながら呼んでいる。


「分かったよ~。そこで待ってて!」私たちは歩みを早める。


 トンネルの奥は、大きな鉄の扉で固く閉ざされていた。


「鍵穴もないし、どうやって開けるんだろう?」


 アーロと双子の姉妹は、一生懸命押したり引いたりしている。それでもびくともしない扉に手を当てて、目を閉じる凱。そして何かを感じたのかうんと頷いて、


「莉羽。ここにきて、俺と一緒に扉に手を当てて。」


「分かった。」私は手を当て、凱を見る。


「目を閉じて、扉が開くのをイメージして。」


「うん。」目を閉じ、扉が開かれるイメージに集中する。


すると、扉の周りから光が溢れ、自然に扉がゴゴーと音を立てながら開いていく。


「導きの力だな。」と言いながらも、凱はしたり顔で私を見ている。私はその顔に微笑む。


「やったー。開いた!凱すごい!」ミディアが喜んで奥に入ろうとするのを凱が引っ張って、


「待て!!!」

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