【第5夜⑥ ~アーロの決意~】
図らずとも真実を知ってしまうアーロ。
目に涙を浮かべているが、必死にこらえるアーロの姿に、私はいてもたってもいられずアーロに駆け寄り、ぎゅっと抱きしめる。その姿を見た莉亞も私とアーロを抱きしめる。
「マーガレットさん、話は分かりました。ありがとうございます。で…、おい!アーロ。お前、さっきの話聞こえただろ?俺と姉さん助けに行くぞ!」その様子を静かに見守っていた凱が突然言う。
「え?何?」アーロは何を言われているのか理解できずに聞き返す。
「アーロ。お前の姉ちゃんは生きてる。ただ姉ちゃんは敵に…、おそらくクラウディスの一味に捕らわれてる。お前も俺たちと一緒に助けに行くだろ?」凱は真剣な表情でアーロに手を差し出す。
その行為がアーロにとっては、自分を一人前の男として凱が認めてくれたように感じ、唇を噛みしめ、覚悟を決めたような表情で凱の手を握る。
その瞬間、握った手から突如閃光が走る。私たちはその光に目を咄嗟に閉じ、暫くしてからゆっくり開けると、凱とアーロが目を見合わせ、そしてもう一度固い握手をする姿があった。
「僕、絶対姉ちゃんを助けてここに連れ戻す!」その言葉に凱が頷く。
私たちは2人の姿に感動して目を潤ませる。すると私より先に、
「アーロ。がんばろう。」莉亞がアーロの肩を叩く。
それに驚いたアーロは莉亞をじーっと見ながら、
「莉亞って、莉羽の友達?この前はいなかったよね?」ちょっと人見知りをしているのか、警戒して質問するアーロにきょとんとする3人。
「そうだ。お前にはまだ何も話してなかったな。とりあえず、泉で洗礼を受けてからだ。」
凱は笑いながらそう言うと、じっと泉を見回し、何かを探し始める。
なんでいま教えてくれないんだ?という目で凱を見ているアーロだったが、凱の真剣に何かを探す様子に声をかけることが出来なかった。




