【第5夜④ ~子供たちの思いを~】
『あれ?おじいちゃんは?どこにいったんだろう?』
私がきょろきょろ辺りを見回していると、双子の母マーガレットが、
「この子たち…、皆さんの足手まといになりませんか?それだけが心配です。もしお邪魔でなければ、私も同行させていただきたいのですが…。」そう言って子供たちの頭に手を乗せる。
「大丈夫ですよ。子供たちの、父親を取り戻したいという思いを何より尊重したいです。そしてこの子たちは能力がある。それを磨いてもらいたいんです。この先どんな戦いが待っているかわかりません。でも、自分の身は自分で守れないと。ただでさえこの村は、聖なる泉に近いことから人が多く集まり、それを狙う魔獣が数多く出没します。その魔獣からこの村を守ってほしい。ゆくゆくはこの村を護る核になってほしいと思っています。大丈夫俺たちが付いていれば。だから安心してください。」凱は熱く約束する。その言葉を聞いて、マーガレットは、無言で頷き、
「よろしくお願いします。」と言って子供たちの頬にキスをする。そして何かを思い出したように話し始める。
「そういえば、夫は連れていかれる前に気になることを言っていました。
『ここも邪悪な気に支配されつつある。何か起こる前に泉に行って身を清めておいたほうがいい』と。
この星で、もっと良くないことが起こるんでしょうか?」と不安そうな顔で聞いてくる。
「ガージリフトさんは能力が高いだけに、何かを感じ取っているのは間違いないでしょうね…。私たちが聖なる泉を目指す事に間違いがないと確信しました。ただ私たちは進むだけです。ですから信じ続けてください。ご主人の帰りを…、そして私たちのことを、この星の平和を、それが私たちの力になります。」凱はみんなを安心させるように話す。
「分かりました。祈ります。主人の無事、皆さんの事、私たちの未来、平和を。」そう言ってニコッと笑い、子供たちを抱きしめる。
「なんか、凱、かっけーな!」アーロが凱に言う。
言われた凱は、きょとんとして、それから、
「当たり前だろ。」
そう言って、アーロの頭をぐしゃぐしゃにして、照れ隠しをする姿が何とも可愛く見えた。
私は祖父の事が気になりつつも、凱の頼もしい言葉に、この人がいれば彼も納得するだろうと考え、この時点でそれ以上気に留めることはなかった。




