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【第5夜③ ~老人の言葉~】

【前回より】

「とりあえず、今から俺たちは聖なる泉に向かう。お前たちもついてくるか?」


「うん!」子供たちが答えた瞬間、私の中を電気が走ったような感覚を覚える。



『何?今の…』私が辺りを見回すと、そこにいたはずの凱やリディアたちの姿はなく、目の前に白髪の老人が立っていた。


「待ってくれ。この子たちを連れて行かないでくれ。」肩を落として、悲哀に満ちた面持ちでたたずむ老人。


「お前たちのせいで、この子たちの父親は連れていかれたんじゃ。国王に歯向かうなんて…。もうわしはこれ以上誰も失いたくないんじゃ。息子や孫たちを生きがいにしているこのわしから、もう誰も奪わんでくれ。行くならあんたたち2人で行ってくれ。」そう話すのは、年齢的にも話からしても、ミディアとリディアの祖父なのだろうと私は思い、


「息子さんが連れていかれたのは、彼の能力故です。それに、私はこの子たちを無理やり連れて行こうなんて思っていません。この先どれほどの危険が待っているかも分からないのですから…。ただ、この子たちの意思は尊重したい。子供とはいえ、この子たちには力があります。力を持つものであれば、自分達の力で父親を取り返したい、と考えるのも理解できます。だから私はこの子たちが選んだ道をサポートするだけです。」


 私のこの言葉を聞いて、突如怒りを露わにした老人がこの後言い放った言葉。それが私をこの先ずっと苦しめるなんて、この時は微塵にも思わなかった。


「この子たちに何かあったら…、お前たち、ただで済むと思うな。いや、この子たちだけじゃない。この星、いやこの世界全体だ。」


 そう言い放った老人の声に聞き覚えがあるような、そんな気がしていた私の中に再び電気が走り、その衝撃で一瞬反射的に目を閉じる。目の前が真っ白になり、通常に戻るのに数秒かかった。そして私がゆっくり目を開けると、すでに双子の祖父の姿はなかった。


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