【第4夜⑥ ~女子会~】
「おはよう、莉羽。昨日寝る前に考えたんだけど…莉奈さんには私の事、莉羽の友達ってことでいいんだよね?」次の朝、莉亞は不安そうに確認してくる。
「そうそう、友達。って、あの場にいたから、多分うそは見え見えかもしれないけどね…。でもまさか姉妹なんて思わないでしょ。姉妹って分かっちゃうと、「最強の私」の妹だけに、ものすごい能力を持ってるって思われて拉致されちゃうかもしれないから…。念には念を、気を付けないとね。莉亞!」
「うん、わかった、ばれないように頑張る。」莉亞は素直にうなずく。エルフィー皇子との1件はありつつ、素直で頑張り屋の莉亞が可愛くて仕方ない私は思わず莉亞をぎゅっと抱きしめる。それに驚いた莉亞だったが、嬉しそうな微笑みを返してくる。そんな私と莉亞のホンワカ具合を珍しくにこにこしながら見ている凱。
出会いは最悪だった莉亞と私だけれど、やはり出会うべくして出会ったんだなと実感する。莉亞が皇子の件で私に行動を起こさなかったら、きっとこの状況にはなっておらず、妹だとは気づかずにいただろう。でも、莉亞は行動を起こした。そして私たちは出会った。そうやって今がある。
人の出会いは一人一人の行動の結果であって、私は自分が選んで通ってきた道に間違いがなかった事を実感する。
※※※
それから帰宅した莉奈は、莉亞の存在に気づくなり、凄まじい位の質問攻撃を繰り出した。
「莉亞ちゃん、莉羽のお友達って…、高校の?泊まりに来るぐらいだから仲良しなんだね~。お家どこ?姉妹いる?」矢継ぎ早に、次から次へと出てくる莉奈の質問に、「ぼろ」が出ないように必死に応える莉亞の姿を見かねた凱が、莉奈を連れ出してくれたからよかったものの、そのまま質問攻めにあっていたら、きっと全て莉奈にバレてしまうことになっていただろう。
『凱ってば、いつもいい仕事するわ~!』私はそう思いながら、リビングで母と莉亞と、次に向かうメルゼブルクについて話す。
「あそこでは、凱が魔導書盗難の犯人にされてるんだよね。動きにくい…。」私がボソッと話す。
「そうね。でもメルゼブルクで、莉亞に少しでも魔法を習得してもらえると助かるのよね…。ここでは莉奈もいるし、習得できる魔法に限界があるから…。」
「そうだよね…。莉亞が魔法を使えたら百人力だわ。ところで…、お母さん、次は「聖なる泉」に行きたいって思ってる。初めて行ったときは何も感じなかったんだけど、今あそこに行かなくちゃいけない気がしてならないの。」母は私の顔をじっと見てしばらくして口を開く。
「時に直感も大切ね。クラウディスの動きに気を付けて!」
「うん。」
※※※
夕方には凱と莉奈が帰宅し、夕食を5人で食べる。
「莉亞ちゃんは、今日もお泊りなの~?」莉奈が聞く。
「はい。」莉亞は突然話しかけられたので、びっくりして答える。
「私も一緒に寝たいな~。いい?」莉奈は甘えながら聞いてくる。
私は少し顔を引きつらせながら、
「…いいよ。」と言うと、
「じゃあ、お母さんも一緒にいい?女子会ね?」と母は意外にもノリノリだ。私は母のその笑顔に安心して、笑顔で答える。
「いいよ。でも私の部屋じゃ、せまくて無理だから、和室にお布団敷こう!」
「なんか旅行みたいね。」母は少しはしゃいでいる。
「こんなに大勢で寝るのは初めてなので、楽しみです。」と嬉しそうに話す莉亞。
「楽しそうでいいですね。」凱がそう言うと、女4人で、
「一緒にいかが?」と凱をからかう。凱は苦笑いしながら、
「みんなで楽しんでください。」と言って、家に帰る準備をする。
私は部屋を出る凱の後を追って一言。
「メルゼブルク。」凱は頷き、家に戻る。
それから数時間、私たち4人はゲームをやったり、母莉月と父京夜の出会いから結婚に至るまでの話を聞いて盛り上がった。そしてみんなでひとしきり楽しんで眠りにつく。




