【第4夜④ ~ルイーゼの生い立ち④~】
『これは何の映像?』
時折ドクン、ドクンと聞こえ、まるで水の中にいるような閉塞感のある音の聞こえ方、そして少しずつ見えてきた赤子の映像から、これが妊娠中の母親の胎内の映像であることが分かる。
『おそらくこれは、莉羽がお母さんのお腹の中にいるときの映像だわ。ほら、右肩に2つほくろが…。』
すると次に、全く同じ場所にほくろと、背中に三日月型の痣がある胎児の映像が映る。
『これは…私?』ルイーゼの声が心層に響く。
そして次に映し出されたのが、母が大きいお腹を触りながら子守唄をうたっている様子。その声に静かに目を閉じる2人の胎児。それからすぐに出産の映像に切り替わったが、私が生まれる瞬間までで終わってしまった。
私たち4人は直ぐに我に返り、ルイーゼの様子を見ると、先ほどまで光っていた目は戻り、彼女は呆然としている。その様子を見た母莉月は愛おしそうにルイーゼを抱きしめ、そして静かに涙を流す。ルイーゼは最初こそ戸惑っていたが、母の温かさに触れたことで一気に涙が溢れだす。
2人の様子を見ていた私の目から涙が頬を伝い、凱は微笑みながら無言で私の肩に手を置く。私が驚き凱の顔を見上げると、凱はうんと頷く。私はその凱の後押しによって、抱き合う2人に近づき、2人の体をぎゅっと抱きしめ、
「よろしく。莉亞!滅茶苦茶嬉しい!!一緒に皇子を救って、世界を救うぞ!だね。」そう言って、抱きしめる腕にさらに力が入る。
「痛い、痛い。莉羽、嬉しいのは分かるけど力、入りすぎ。」母莉月は嬉しさで泣きながら笑っている。
それにつられてみんな笑顔になる。
「しかし、お前ってやつは…。世界を救うぞ!って…。」苦笑いする凱。私は振り向いて、
「だって、莉亞っていう、こんなにも心強くて、可愛い妹も出来て、なんだか嬉しくて…、今なら何でも出来そうなテンションになっちゃうじゃん…。」私の言葉にみんな笑顔で頷く。
「莉亞。莉羽みたいにいろんな事を簡単に受け入れることはすごく難しいと思うけど、少しずつ受け入れてみて。私もみんなもあなたの味方だから。」母はそう言い、強く抱きしめる。
「いや、いや待ってよ、お母さん。そんな簡単に受け入れるって…、私はね、神遣士とか、今の状況とか、ここまで受け入れるの大変だったんだから…。」私は少しむきになって話し始めると、
「あ~、はいはい、俺はちゃんと分かってるよ、莉羽。だから落ち着こうか。」凱は笑いながら私の頭を撫でて、まるで私が飼い猫であるかのようになだめようとする。
「もう、お母さんも凱も…、そうやって私の事からかうんだから…。」私は苦笑いをしながらも、突然できた妹莉亞の存在に、喜びと頼もしさでいっぱいになる。
その後、莉亞との我が家での、初めての晩餐の支度に入り始める。




