【第4① ~ルイーゼの生い立ち①~】
目が覚めるとアースフィアの自分の部屋にいる私。目の前に寝ている凱とそしてルイーゼ。私は驚いて、
「えっ?なんで?」と思わず大声を出す。その声に起き出す凱。
「戻ってきたか…。アースフィア。」と眠そうな目をこすりながら、周りを見回し同じく驚く凱。
「ルイーゼ?」
「そう…、起きたら目の前に。」
「初めてのパターンだな…。」凱は予想を超えた状況に考え込む。
「うん。でもここに来たってことは何かしら意味がありそうだよね。」
「ああ。でもよく寝てるな…。」私と凱が騒いでいても、一向に起きる気配のないルイーゼ。
「力に目覚めて初めての戦いがあれじゃ、体力消耗するよね。」
「そうだな…、でもお前はどの場所でも…、初陣にもかかわらず、大して消耗してなかったよな。驚異的体力の持ち主はすごいな…。」からかう凱の肩を叩いて、
「そんなことないじゃない。あの後、倒れて凱に運んでもらったんでしょ?私は覚えてないけど…、まあ、その節は…、ありがとう。お礼を言ってなかったよね…。じゃなくて…、確かに体力には自信ある…。でも、一応女子なんだから、人を化け物みたいに言わないでよ…。傷つくじゃん…、ば~か。」
「褒めてるんだよ。」苦し紛れが過ぎる凱の弁明。
「褒めてるように聞こえない。」私は怒って立ち上がる。
その手を引っ張り、私をまた座らせ、そして自分の方に引き寄せる凱。
「ごめん。これでも心配してる。無理してないかなって…。」私は凱の左胸におでこを押し当てて、
「もうちょっとわかりやすい心配の仕方考えてよ…。からかわれてるようにしか思えないんだけど…。」
私はそう言いながらも、この体勢に心地よさを感じ、しばらくこのままでいる。すると自分の口から無意識に言葉が漏れる。
「ねえ、これって幼馴染のハグ?」私がそう言うと、凱は左手で私の背中を抱いて、
「当り前だ。」指摘されたことに照れた凱は、もう右手で自分の顔を隠して、
「いいから黙ってこのまましてろよ。」私はその胸に今度は、右頬を押し当て、
「うん。」と呟く。
凱の胸に顔を当てていることで、凱の心臓の鼓動を直に感じる。もしかしたら、緊張と戦い続きの私に、神様がご褒美を与えてくださったのかもしれないと感謝して、私はその幸せを噛みしめる。凱の鼓動の強さに私への気持ちが少しでも…、と思いながら…。
しかし、至福の時間は長続きしないのが、世の常である。
ルイーゼがゆっくりと起き出し、私たちの姿を見て、
「え?何?そういうことですか?お取込み中すみません…。」ばつが悪そうに下を向いている。焦った私たちはパッと離れて、
「下に降りようか?」顔を真っ赤にしながら、階段を下りていく。




