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【第3夜② ~王女として・神遣士として~】

 私と凱は、民衆の前に向かう間、周りを警戒しながら歩く。すると、王と並んで歩く私の真後ろに、侍女として仕える莉奈の姿を確認する。後ろについて歩く凱もそれを確認したようで、私と莉奈の間に入って歩く。

 私は不安を覚えつつも、まずは一刻も早く民の前に出て、皇子拉致事件による不安を払拭させなければならないと、後の事は凱に任せる。


 今の私にできるのは、ただ民の前に立ち、この国の王女として民を護り切る宣言をする、ただそれだけだ。皇子無き今、それがいかに難しい事かは、この自分が一番分かっている。でも私は、彼らをどんな状況であっても護らなければならない存在なのだ。それがこの国の王女であり、神遣士である自分の使命。


 私が意を決して、城壁の頂上に立つと、不安と絶望に突き落とされ希望の光を失った国民が、一斉に歓声を上げる。


「莉羽様!」

「莉羽様~。」すがるように、必死に声を上げる民の姿に心を動かされた私は、出来得る限り精いっぱい手を振り、それに応える。そして皆に聞こえるように、声を振り絞って話し始める。


「ここに集まってくれた皆さん、私とエルフィー皇子の挙式に参列してくれたこと、心から感謝します。ありがとう。」民の顔に少しだが、希望の色が見え始める。


「先ほど皇子が何者かによって連れ去られたのは、周知のとおりです。どのような目的で皇子が連れ去られたのかは、まだ分かっておりません。そして彼を取り戻す術も…。


 しかし、この国には私がいます。そして皇子の第一の従者である凱もおります。私たちは全ての力を使ってでも、皇子奪還と失踪中の我がファータの民を取り戻します。


 長い戦いになるかもしれません。でも、私はここに約束します。この戦いに必ず勝ち、そしてこの星の平和を取り戻す。」私の強い意思が伝わったのか、民衆は立ち上がって声を上げ始める。


「莉羽様、我れも戦いますぞ!」

「私も。」

「私もこの力をこの星のために。」皆、口々に声を上げる。私はそれに手を挙げて応えるように、


「皆、ありがとう。幸いこの星には、様々な能力を持った者が数多くいます。その力を集えば強大な力になるでしょう。皆さんの素晴らしい個性豊かな力を、是非私に貸してもらえないでしょうか。この国の未来のために!」


私の一言一句を聞き逃すまいと、静まり返っていた場内が一気に沸き立ち、


「おお~、姫!我らの力でこの国を救いましょうぞ!」

「我らの力で!」


 私は歓声で沸き立つ会場を、端から端まで見渡し、民衆の声に応える。


 民衆のヴォルテージは一気に上昇し、私はエルフィー皇子拉致事件で奈落の底に落とされた民衆の心を引き上げることに成功した。



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