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【第1夜㊱ ~騎士団、再結成・もう1人の副団長誕生~】

 その静寂の中に突如、『コツコツ』と足音が響き、1人の男が姿を現す。さっきまで表情を曇らせていた団員は、その場に現れた者の顔を見るなりその表情を一変させ、晴れやかな笑顔でその者を迎える。


「ハルトムート!」私は叫ぶ。


そして歓喜の声が、この王の間に響き渡り、さっきまでの重苦しい空気ががらりと変わり、熱が上がる。


「私の事、忘れていましたね? 国王ジョセフⅢ世。」現れたハルトムートは、目を白黒させて驚く団員たちの姿を横目に、片眉を上げ、笑いながら王に話しかける。


「おお、すまん。ハルトムート。」王も申し訳なさそうに笑って、そう話し始めるや否や、

「ハルトムート!」と大声で叫びながらフィンが抱き付く。


「おいおい。男に抱かれる趣味は俺にはないぜ。」そう言いながら照れるハルトムート。


「お前、生きてたのか~。もう俺は…、お前は死んだのかと…。」泣きそうになりながらフィンが続ける。


「よかった…、生きてて…。ほんとによかった…。」それからしばらく、喜びのあまり抱き付いたまま動かなかったフィンが、思い出したかのように、


「でも…、大変だったんだぞ。お前が来ないから…、魔の山も俺たちだけで行って…、ここにたどり着くまで…。ああ~、もういいや、会えたから!」と愚痴を織り交ぜながら、満面の笑みでハルトムートに抱きつく。それを見た国王は、ほほ笑みながら、


「ハルトムートは、君たちがこの王宮を去った後もここに残った。兵に捕らえられ牢獄の中で君たちの無実を必ず証明すると私に訴え続けた。

 その時すでに洗脳されていた私は、そんなことが出来るはずがないとあざ笑ったが、証拠を持ってくるから、自分をここから出してほしい。もし持ってこれなかったら、自分の命を差し出すとまで言い放った。

 洗脳されていた私はそれをはったりだと思ったが、仲間のために死んでいくその様を見てやるのも一興だと、わざと解放し、その行方を見ていた。その間、彼はありとあらゆる方法で…、最終的にはその証拠を私の前に差し出した。

 その時すでに、私は王妃の力で洗脳を解かれ、正常な状態に戻っていた。だから、その証拠を受け入れることが出来た。その証拠が、君たちを無実へと導く決定打になったのだ。」それを聞いたフィンは、しばらくハルトムートの顔を見つめて、それから再び抱きつき、


「そうだったんだな…。ありがとう。ハルトムート。」そう言って、感激のあまり涙を流しながら、


「頼むぞ。これからの戦いにお前の力は不可欠だ。」と泣きながら笑いかける。ハルトムートは、フィンのストレートな感情に嬉しさを感じつつ、抱き付かれ過ぎて半ば呆れたように、

「ああ…。」と言うと真面目な表情で、


「さっき、話は聞こえていたんだが…、『神遣士、莉羽…様?』を支えて…、俺はこの星と姉さんを救う。莉羽…様?よろしく。」執拗に抱き着いてくるフィンを少し遠ざけたハルトムートは、私を見ながら力を込めて言う。そのやり取りを微笑んで聞いていた王は、一息ついてから、


「さて、ここまでわが騎士団を導き、そしてこの先、私たちの進むべき道を先導しようとしてくれている莉羽殿に、このシュバリエは全面的に協力、支援していくことを誓う。まずは、騎士団再結成を命ずる。


 そして、この星の全ての国に通達する。「15歳以上の男子は積極的にわがシュバリエの騎士団に入団するように」と。団長はフィン。副団長はマグヌス。そしてもう1人副団長を立てる。それがこのハルトムートだ。」ジョセフⅢ世は高らかに宣言する。


一気に騎士団の士気が上がる。


「今までにない新しい騎士団の誕生だ。」

「フィン団長!マグヌス、ハルトムート副団長!万歳!!」団員の声がこだまする。その声はしばらく王宮内に響き渡っていた。


 「王の意向も支援も確認できたし、騎士団の士気もここまで上がったな。これでシュバリエの土台は出来上がった。あとは…、多分、ここにいるみんなが「神遣士」であるお前の言葉を欲しがっていると思うぞ。」凱はにこっと笑う。




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