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【第1夜㉟ ~兇悪の背信者~】

 

 王の話を聞き終えた私と凱以外の者たちは、さらに追い打ちをかけるように伝えられたその衝撃の事実に言葉を失った。信じる者がどのように自分たちを裏切ってきたのか…、その詳細を知り、それを否定する余地もなくなった彼らの落胆は、想像をはるかに超えていた。その仲間たちの様子に、私と凱は顔を見合わせ頷くと、私は一歩前に出て、


「王、頭を上げてください。今回この星も含め、4つの星で起きている事件は誰がどのような意図で起こしているか、まだはっきり分かっていません。私も4つの星を行き来しながら、それを今調査しているところです。


 今回の騎士団の一件は、「石」の力による洗脳で起きてしまった事。全てに「石」が絡んでいることから考えても、早急に「石」の適合者を、私たちも独自の方法で探すなど…、すべきことはたくさんあります。ですからもう頭を上げて、前を向きましょう。これから私たちが何をすべきか、そして何が出来るのか。一緒に考えていただけたらと思います。」


 私も王の御前という事もあり、少し緊張していたが、自分のすべきこと…をしっかり果たさねばと、相手が王であろうと誰であろうと胸を張って話す。



 私が何ら動揺することなく、王と話している様子を見て、我に返ったフィンが、


「莉羽…。お前、ロイの事、知っていたのか?」と睨みつけるような目で問いかける。私はフィンのらしからぬ(・・・・・)表情に事の成り行きを説明しようとすると、


「俺が黙っているように言ったんです。まだ確証がなかったので、余計な混乱は招きたくなかった…。」凱が間に入る。その言葉にフィンは、下を向いて悔しそうに拳を強く握って、


「だからって…。」そう言ったまま言葉が出ない。その後ろで聞こえるアラベルのすすり泣く声に気づいたマグヌスが、今にも泣き崩れそうな彼女を支える。


「ロイ団長…。」皆の口から洩れる「歴代団長の中でも誇るべき偉才」の名が、今や「兇悪の背信者」に成り下がった。


「皆にとってもロイの存在は…。」王もうつむいたまま次の言葉を失ってしまった。しばらく沈黙の時が流れる。



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