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「第1夜㉛ ~騎士団の誇るべき凱旋~】

 国王からの招集命令が出ているとはいえ、何が待ち受けているか分からない。そのことは今までの経験からも容易に翠青く出来る事だ。帰還前に王宮内の偵察を念入りにすることを優先し、フィンからの最初の命令通り、マグヌスが動く。

 マグヌスの帰りを待ちながら、途中の村や町で王都の情報を仕入れつつ、少しずつ王宮に歩を進める私たち。その前に立ちはだかる、次々と現れる魔物に対し、フィンは率先して戦闘に加わる。おそらく自分の覚醒した力を、本格的な戦闘前に確認したいとの思いからだろうと、私たちは後方支援に回る。


 それから3日後、マグヌスが戻り、王都、王宮内の様子を報告を受ける。


「今、戻った。」


「お疲れさま、無事で何よりだ。で、どうだった?」フィンが尋ねると、マグヌスは防具を外しながら、


「俺たちが王宮を出たあの日から、騎士団に対する王都全体の見識が変わっていた…。あの時は俺たちがまるで犯罪者であるかのような扱いだったのに…、今や英雄扱いだ。信じられるか?俺は最初、王都全体が洗脳されているのかとさえ思った…。何がどう影響してそうなったのか…、いろいろ聞いて回ったが、原因が全く分からなかった。それで、死んだと思っていた酒場の情報屋に偶然会えて…そいつの話によると…、国王がかなり信頼を寄せている人物の進言があったらしいとのことだ。それが何者なのかは情報屋でもさすがにつかめなかったらしいが…。」そう言うと、アラベルが用意した水を飲み干し、


「このまま、王都に入っても問題ない。逆に盛大に出迎えてくれるような状況だ。俺たちのこの逃亡劇は一体何だったんだ…。というのが今回の偵察の正直な感想だ。」怒りに満ちた表情で机を叩くマグヌス。


 私たちは、彼が言うように、何が起こったのか全く予想さえ出来なかった。王都を追われる前の私たち騎士団は、厄介者どころではなく、拉致事件の容疑者では?とまでの言われようだった。そして追い打ちをかけたのが、国王の騎士団解散命令と、フィンを始めと私たち、中核メンバーの指名手配だった。そんな中、私たちは精神的に追い込まれた状態での逃亡劇を繰り広げていた。にもかかわらず、一体何が起きたというのだろう。ここにいる誰もが、疑問と怒りに飲まれそうになっていた。


※※※


 その怒りを鎮めるには、かなりの時間を要した。、それぞれが近くの川に顔を洗いに行ったり、馬を走らせたり、思い思いの時間を過ごし気持ちを切り替え、そして再び集結する。


フィンは真剣な面持ちで皆の前に立つと、


「はっきり言って…、よく分らん!しか言葉が出ない。これ以上話すと、怒りがまた込み上げてくるだろうから、これ以上は言及しない。いや、したくない。この件は俺たちが騎士団としての誇りを持ち続けた勝利だと受け止め、これからも揺るがない思いで、この国、民、大切な人を守るために命を懸ける!!それだけだ!」


やりきれない思いを飲み込んで、団長としての思いを語る。その姿に、


「そうだ!騎士団としての誇りを!」

「俺たちの勝利だ!」

「フィン団長と共に!」


団員の熱い声援に応えるフィンの顔はさらにたくましくなったように感じる。


「さあ、いざ王都に凱旋だ!」フィンの声に団員の心が一つになる。


「おお~!!!!!!!!」



 


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