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【第1夜㉓ ~ご希望通りに…~】

【前回より】

その2人のやり取りを見ていた私たちは、完全にドン引きして声も出ない。捕らわれているアイシャも呆れかえっているのが見て取れる。

「お楽しみの途中で悪いが、「俺たちは死ぬ前」に、ここに住んでいる前騎士団長のこと、お前たちの主とやらの目的を教えてもらいたい。何も知らずに死ぬのは心苦しい。石は渡すから、教えてくれ。」凱は、アイシャが持っていた石を取り出そうとする。


「前騎士団長?主の目的?そんなの教えたら、あの女の怒りに触れるから、教えてあげられないわよ。ほらほら、石を出そうとしてるんでしょ?話が分かるイケメンちゃ~ん。こっちに投げなさ~い。」


「ちょっと待ってくれ。お前言ってることが支離滅裂だな…。お前馬鹿か?」フィンは女を挑発する。


「なんですって~!この私を…ばっ、馬鹿呼ばわりするなんて!絶対に生きて返さないわ!ミカ、今すぐやっておしまい!」女は激高して言い放つ。男はさらに槍をアイシャの体に押し付ける。


「まっ、待ってくれ。」凱はそう言ってポケットに手を入れ石を探す。その後ろで私は、


「どうするの凱?」と小声で尋ねる。


「変態には変態に見合った攻撃か…?」フィンはなんだか嬉しそうだ。


「何ですか?それ?団長。」私はその顔の意味が分からないが、


「ご希望通りにしてやろう…。」凱のこの言葉でどう出るかを理解する私。


「ご希望って…?ああ、了解!あれをやるのね!」私はニヤッと笑って準備を始める。


もたもたしているふりの凱に痺れを切らした女が、


「何ごにょ、ごにょ言ってるの?早く石を出しなさい!」と手を出す。


「わかってるって。渡すよ。なあ、莉羽。」それが合図で私はすぐさま、


「雷魔法開示請求第15『ライトスピアル』」と呟く。と同時に凱が石を投げる。

女が石を受け取ろうとした刹那、稲光がミカの体を突き刺し、耳を劈くような巨大な雷鳴が鳴り響く。そのすきに凱はアイシャを取り返し、ピートのもとに届け、男にとどめの一撃、


「雷魔法開示請求第28『ライトバースト』」

ミカの体に突き刺さった稲光が破裂し、そのまま男の体も跡形もなく消える。


時間にして2秒の出来事に呆気にとられる女。


「なに今のは…?まさか、ミカが…?」ショックに顔を上げられない。


「ミカが私の許しを得ることなく死ぬわけがない。私の命令は絶対よ。それを得ず、この世を去るなんて…。うう~。おのれ、ミカ!私の許しを請いに戻ってきなさい!」髪の毛が逆立つほどの剣幕で怒り狂う女。


しかし同時に私たちの様子を見回し、ニヤッと笑ったかと思うと、突然豹変し、


「ははははは、気づいておらぬか?」先ほどと同じように高らかに笑い出す女。


「何がだ?」フィンは聞き返す。


「お前たちの後ろ。数を数えてみろ。何かおかしいだろう?はははっははは。」


皆一斉に振り返り、それぞれの顔を確認する。すると団員の1人が震えながら、


「ウィンダンが…、ウィンダンがいない…。」


「残念ながら、お仲間が1人消えたようね。」女は笑いながら続ける。


「跡形もなく…消えた?」


「どういうことだ?」


「分からないの?お間抜けさんたちね…。私の最愛のミカを標的にしたお仕置きよ。このままで帰れると思わないでちょーだい。」そう言うと女は宙に浮かび、


「最初の攻撃は誰がやったのかしら~?」と言いながら、1人1人の顔を嘗め回すように見て、


「見~つけた。あらら、あそこにもかわいこちゃんがいるじゃない?」と笑いながら、明後日の方を見る。するとそこにいたのは…、震える莉奈だった。





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