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【第1夜⑳ ~実戦から得るもの~】

 建物の入り口は、高さが5mはありそうな重厚な金属製の扉で守られており、その扉はちょっとやそっとの力では動かなそうだ。ふと見ると、扉のわきに小さな穴があり、その中に何かをはめ込むような窪みがあった。


「この扉はそもそも人力で開けられる代物ではなさそうだな…。」屈強の騎士団5人の力を持ってしても、びくともしない扉を前にフィンが言う。


「この窪み、気になりますよね。ここに「石」をはめ込むことで開くっていうこと?」私は、まさかそんなことはないよね?という気持ちで半ばふざけて尋ねる。


「確かに…。このいかにも…って窪みがそう思わせるよな。建物自体はかなり古いし…、おそらく100年以上は経っているだろう。この扉も、もしほんとに「石」を使って開く仕組みだとしたら…、敵はかなり前から「石」の研究を行っていたということになるな…。」フィンがそう言いながら扉をくまなく見ていると、


「力を使ってみるので、皆さん少し下がってください。」と凱が前に出て、呪文を唱え始める。その様子に全員が少し下がると、扉がギギーと重い音を辺りに響かせながら開いていく。


「魔法ってのは、何回見てもやっぱり凄いな…。」フィンは目を輝かせて言う。フィン直属の団員も目を丸くしてその光景を見ていた。


「今ので敵も俺たちの侵入に気付いたと思います。急ぎましょう。」凱は皆を促す。


 私はその窪みが異様に気になるが、皆の後についていく。


※※※


 建物内部は、私と凱、フィン、団員の10人で進む。魔物の生体反応は、探知できた限りでこの中に50体。おそらく石の力で反応を見せない魔物もいるはず。

 そして敵の魔術ゆえか、数秒で複雑に形を変えていく回廊によって、私たちは行方を阻まれている。それらの敵に警戒しつつ、不可解な回廊を進みながら先に進む一行。

 私と凱は、現れる魔物に合わせた戦術で次々と倒していくが、徐々に魔物の魔力が強くなっていくのを感じていた。


「魔力、かなり消耗してないか?」凱が心配そうに聞く。


「まだ全然大丈夫。」


「辛くなってきたら言えよ。」


「うん。ありがとう。」


「莉羽。お前の戦い方を見てて、だいぶ動きもスムーズになってきたし、パワーの調節もできるようになってきたように感じるんだけど…。自分でどう思う?」戦いに慣れてきた私を見て凱が言う。


「確かに最初よりいろんなことがスムーズになってきてる気がしてる。」


そう言われてみて、改めて考えるとそうだ。考えなくても次の攻撃への準備、動きが無意識に行えるようになっている。これも実戦を経験して積み重ねてきた結果なのだなと嬉しく思いつつ、この先どんな敵が待っているか分からない事の不安も抱えていた。



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