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【第1夜⑪ ~爆上がる士気~】

 砂の精霊イーサンと雨の精霊メルが退くと、今まで息を飲んで戦闘の様子を見ていた騎士団の面々が一気に沸き立つ。


「なんだ、あの力は!」

「精霊って、何者なんだ?」

「あの力があれば魔物なんぞ、一蹴できるぞ!」

思い思いに皆、声を上げる。

 

 その歓声の中、凱が私の頭に手を置いて、


「さっき言わなかったけど、初めての実戦で精霊を呼び出せるなんて、なかなか出来ない事なんだ。お前の力はやっぱり本物だな。」


「えっ、そうなの?」私は驚く。


「精霊呼び出すときの力は何%位だった?」


「半分行かないくらいかなぁ…。」


「半分で呼び出せるとしたら…、結構すごいな。」少し驚く凱。


「凱は?」


「俺は天収だけだし、メルはすぐに出てくれるから、ほんの少しかな。」


「そうなんだ…、でも光の精霊といい、さっきの子といい、みんな凱の事が大好きだね。」笑って言うと、


「ははは、奴らの契約の基準は、まず強さ。契約者が基本、強い奴じゃないと精霊は契約してくれないし、出てきてもくれない。で、次がその精霊の好み?とは聞いたことがある。お前もイーサンにだいぶ好かれてるみたいだしな。」苦笑いしながら話す凱。


「そういう事なんだね。でも、精霊とずいぶん親しいみたいだったし、回生前からの付き合いがあるの?」


「まあ、それもそうだし…、お前みたいにファータで姫様だと、公にはあんまり鍛えられないだろ?でも俺はその点、自由だから…、鍛えようと思えば鍛えられるし、呼ぼうと思えばいつでも精霊を呼び出してやり取りもできる。その時間の違いだ。」笑いながら話す凱の姿がさらに頼もしく感じる。


 そこに隊前方から来たフィンとアラベルが、


「何、今の?すごすぎて話にならないんだけど…。」フィンは驚きすぎて言葉が出ない。


「あの光とか風とか砂とか、どうなってるの?」アラベルは興味津々。


「今のは、神術。魔法とはまた違うものなんだけどね…。実際訓錬はしてたんだけど、実戦は初めてだったから、少し緊張しちゃった。」私がそう言うと、いつの間にか大勢の団員が私と凱を囲んでいた。


「莉羽様、凱様!」皆、大声で叫ぶ。


「莉羽様、なんという力なんでしょう!」

「凱殿もすごかった!」

「このお二人の力があれば、魔の山なんか目じゃないぞ。魔物に勝てるかもしれない!」

「そうだ、皆の者。やるぞ、俺たちも!」

「おお~!」団員たちの士気は、フィンの予想をはるかに超えるものとなり、その光景を見たフィンは、

「効果覿面だな。」と嬉しそうに話す。鳴りやまぬ歓声にフィンもアラベルもマグヌスも満足している。


「みんなの士気がここまで上がるなんて…。」私は皆の姿に喜び半面、不安も抱く。


「ここまで戦う気になってくれて嬉しいけど、私たちがここにいる全ての人を守れるわけではないんだよね…。」凱は私の肩に手を乗せ、


「戦いの中で尊い命が奪われていくのは世の情理。俺たちはその命を守るためにも全力で戦う。それが俺たちにできることだ。だから、前を向こう。俺たちの信じる道を…。」


私はそう話す凱の顔を見上げ、無言で頷く。






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