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"紫電隊"のキセキ  作者: ぺい督
結成! "紫電隊"
8/12

紫煙と前照灯

(´ω`) <遅くなりました

 げほごほとむせるセルゲイに、「煙草、吸わないクチだったか?すまん」と声をかけ、紫煙をぷかりと吐き出す。

「いえ」セルゲイが自分の胸を叩きながら口を開く。「吸ってるんですけど。コレ、クソ不味くないです?」

「滅茶苦茶不味いぞ」俺がトントンと灰を落としながら応える。

「よりによってコイツを、なんで吸ってるんです?」セルゲイが、不思議そうな表情を浮かべる。

「あぁ、そうだな」俺は言い澱んで、ほんの少しだけ考えて、答えた。「きっと。捨てきれなかった憧れだろうな」


「憧れ?」セルゲイが、火についた煙草を指に挟んだまま聞き返してくる。

「俺が、ここにいる理由になった人がな」ガタガタと揺れる車上から、赤みがかった一面に広がる畑と、左手に見える山脈に目をやりながら続ける。「この煙草を好きで吸ってたんだ」

「まぁ、もう死んじまったんだけどな」俺はセルゲイに言うわけでもなく、ただ呟いた。

「何故、その人は死んでしまったんですか」セルゲイが恐る恐る訊いてくる。

「一昨年に起きた、 "ガロンの悲劇 "を覚えているか?」俺の言葉に、セルゲイはこくりと頷いて口を開く。「ガロン基地、弾薬保管地区へのテロ行動、でしたっけ?」

そうだ。俺は続ける。「その時、初期対応に当たった部隊に。その人は所属していたんだ」

初期対応ってことは。セルゲイがそう呟いて押し黙ってしまった。

「まぁ。湿っぽい話はここまでにしよう」俺が、雰囲気を切り替えようとセルゲイに問いかける。「そういえば、名前はなんて言うんだ?」

あぁ、と声をあげてセルゲイが答える。「アナトリー(Анатолий)ルキーチ(Лукич)セルゲーエフ(Сергеев)っていいます。通信特技兵です」

「俺も、名乗ってなかったな」セルゲイの名乗りを聞いて、俺も口を開いた。「オースティン・ルイス・エヴァンスだ。階級は中佐、一〇五歩兵大隊長を務めている」

俺の名乗りを聞いて、セルゲイが首をかしげる。「一〇五?」

「あー、まぁ。古い習慣みたいなもんだな」昔は大隊も連番だったんだ、俺はそう言って短くなった煙草をひょいと外に投げ捨てる。


 そういえば。俺が呟いてセルゲイに問いかける。「もう日が暮れそうだが。どうするんだ?」


「どうするって、何がです」セルゲイが訊き返してくる。

前照灯(ライト)さ」さっき見たときに、それらしいものはなかったが。俺はそう言って、胡坐をかいたまま、もぞもとと動いて座り直す。

「あぁ、それなら」セルゲイが俺の隣を通って、運転席のすぐ上あたりをガンガンと叩いて「ザクセン!前照灯(ライト)をつけてくれないか!?」と怒鳴った。

「わかった、分かった!頼むから天板を叩かないでくれ!」ザクセンが声をあげてすぐ、前方に向けて前照灯(ライト)が照射される。

どこにあったんだ?そう呟いた俺の疑問にセルゲイが「普段は隠されてるんです」と答えた。

「そういえば、エヴァンス中佐」セルゲイが改まった口調で、コッチに向き直ってきた。

「どうした?」

「そっちの部隊は、どの無線機を使ってるんです?」

「確か、ジョヴァンニ型(1911年型)の電信機だな」俺がそういうと、セルゲイがあれか、と口を開いた。「無線機型はないんですか?」

ヴェスプッチ型(1921年型)があるが、出番は少ないぞ」せいぜい、伝令隊との通信くらいだ。俺がそう口にし、ライトで照らされ、どんどんと後ろに流れていく路面を眺める。

あ い つ(ヴェスプッチ型)が配備されてた時は良かったですよ」セルゲイが呟く。

「今のハドソン型(1925年型)の無線機は不調続きだ!」憤るセルゲイに「そんなにひどいのか?」と聞いて見た。

「えぇ」憤ったセルゲイが、どんどんと問題点をあげていく。些細な揺れで壊れ、新品が動かないと思ったら断線、そもそも部品が足りない個体もある。「おまけに、壊れてなくてもノイズだらけですし!」

「そりゃひどいな」俺が呆れかえって呟くと、全くそうですよねと言わんばかりにセルゲイがこくこくと頷く。


 ひょいと少将がハッチから顔を出して「ダメだ、どっかしら内部で逝ってるっぽいぞ」とセルゲイに告げる

「最悪だ」セルゲイが悲痛な面持ちで、「また整備に出すしかないのか」と呟いた。

少将が車上にひょいと飛び上がってきて、「エヴァンス、ヴェスプッチ型(1921年型)はどうして使われてないんだ?」

あー、と俺は声を出して、「そもそも、無線機が1台だと、使う機会がそこまでないんですよ」と言った。

使う機会がない?と少将が疑問そうに呟いたので俺は答えた。「大隊から連隊へ情報を飛ばす時に、たまーに使うくらいです」

「大隊から中隊へは?」セルゲイが聞いてくる。「それは有線と伝令だな」俺はまた答えて、「無線機、中隊には配備されてないからな」と付け加える。

「そうか」少将が声をあげた。

「どうしたんです?」

「いや何、これは重要な情報だ、そう思っただけさ」

上層部は、無線機は大隊までで十分だと思ってるんだ。少将がそう言ったのを聞いて、セルゲイが眉をひそめる。

「上層部の方々はどうも、伝令を重要視しているきらいがあるようですね!」

その通りだ、俺と少将は一度大きく頷いた。

「無線機の便利さを全く分かっていないようでな、弱ったものだ」

少将の嘆きを聞いて、俺は煙草を差し出した。「吸います?」

「あぁ、1本くれ」少将が受け取って、セルゲイの差し出した火にかざして火をつける。

すぅと一つ、大きく紫煙を吸い込んで。

少将が思いっきりむせた。

(´ω`) < ブックマークしてくれると嬉しいです。

(´ω`) < ちなみに次の話でようやく書き直しが終わります。お付き合いくださりありがとうございます。

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