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"紫電隊"のキセキ  作者: ぺい督
結成! "紫電隊"
6/12

大隊司令部

(´ω`) < おそくなりました、2話目の前半部分です。

 俺とトマス少将を乗せた四輪駆動車は、がたがたと騒音をたてながら未舗装の道に土埃を挙げて進む。

「少将!一体全体、どこに向かってるんです!?」俺が騒音に負けない程の大声を上げる。「なんて言った?よく聞こえないぞ!」少将が怒鳴り返してくる。

俺は座席を掴んだまま「どこに!向かってるんですか!」と怒鳴ると、「戦車の所だ!」と少将が答えた。

「もうちょっとで!」少将が続ける。「舗装された道路に出る!そしたらだ!」跳ね上がった拍子にずり落ちた軍帽を膝の上に置いて、俺はこくりと頷いた。


 がたんと砂利で舗装された道路に乗り上げて、俺はほっとため息をついた。「最高にスリリングな経験だったな?」少将が訊いてきた。

膝の上に置いておいた軍帽を被り直して、ぐいぐいと手で調整しながら「何度、こいつがひっくり返るかと思ったことか!」と呟く。

「ひっくり返ってないから問題無いだろ?」少将が笑って答え、地図を持っていないか?と聞いてくる。

内ポケットに入っていた、まっさらな地図を取り出して「何処まで?」と少将に聞くと、「アーネンベルグまで案内を頼む」と言われた。

アーネンベルグ、アーネンベルグと口の中で繰り返し呟きながら、地図を指でなぞって探す。それらしい地名を見つけて「川の傍の街で?」と声をあげると、そうだと返ってくる。

「あー、そうだとしたら」俺は地図から顔を上げて言った。「逆ですね。右手に山が見えないとおかしいです」と、左手に見える山を指さす。

「ありゃ、逆だったか」そう少将が呟いて、ぐるんと勢いよくハンドルを回した。


 四輪駆動車が勢いよく転回し、その遠心力に巻き込まれた俺はひゅっと音を漏らす。

「マジでやめてください少将、やっぱり怖いっすこれ!」悲鳴にも近い声を上げるのを見て、少将がからからと笑い出した。

「なんだ、"前線の(ア サ ル ト ・)戦術師(タクティシャン)" にも怖いものがあるのか?」少将がにやにやと笑いながら揶揄ってくる。

怖いものは怖いんです、そう答えて地図に目を落とす。「あ、少将。次の丁字路を右に曲がってください……ゆっくりですよ!」

分かってる、少将が言いながら道を曲がる。「それで、どうしてアーネンベルグへ?」俺がそう聞くと、少将が「今の戦車(タ ン ク)は、おまえの思ってるものとはだいぶ違うんだ」と言う。

どういうことだ?と俺が呆れている姿を見て、また少将が笑いだした。


 石畳の道に突き当り、ハンドルを握る少将が「ここを右、だよな?」と聞いてくる。

「そうです」と答え、地図を丁寧に畳んで胸ポケットに放り込む。

懐から、がさりと煙草の箱を取り出したのを見て少将が渋い顔を浮かべる。

「エヴァンス中佐、まさかソレを吸っているのか?」

「えぇ、それが何か?」

「ソレ、びっくりするほど不味いだろ?」少将がハンドルを戻して、俺の手に持ってる煙草を指し示す。

「引くほど不味いですよ」箱から煙草を取り出し、懐にしまい込んでがさがさとポケットを漁る。

今更ながら、マッチを大隊司令部に箱ごと置いてきた事に気が付いた。「あぁ、最悪だ」俺は呟く。

「少将、火持ってません?」俺の問いに、少将が懐からライターを取り出す。

ひょいと投げ渡されたライターを受け取って、かちりと音を立てて火を点ける。

「こりゃ便利ですね、ありがとうございます」と言って、少将のポケットにライターを押し込んだ。


 俺はすぱすぱと煙草をふかしながら、外に目をやる。

一面の畑を眼下に、若干の雪化粧を残した山々が立ち並ぶのを見上げながらふと呟いた。

「アレ、なんですか?」畑の間を、何やら小さな車輛の様なものが土煙をあげながら走っている。

少将が駆動車を止め、「どれだ?」と単眼鏡を取り出し、俺の指さす先を覗き込んだ。

()()()()()だ、丁度いい!」少将が声をあげ、がちゃがちゃと単眼鏡をしまいこんでアクセルを踏み込む。

ぐんと体が後ろに引っ張られ、宙に舞いかけた軍帽をつかみ取る。「何が、丁度良いんですか!?」という叫び声は風とエンジン音に飲まれて、少将の耳には届かなかった。


ゴトゴトとタイヤが音を立てて、ゆっくりと街中を進んでいく。

「存外大きい街ですね」俺はレンガ積みの建物を見上げ、ぷかぷかと紫煙を揺らす。

少将が "司令部(H Q)" と銘打たれた看板のある建物の前に駆動車を止め、歩哨の方へつかつかと歩いていく。

「やぁ!今、時間は大丈夫かな?」少将が、歩哨の敬礼に答礼を返しながら訊く。

ライフルを肩に担ぎ直して、歩哨の兵士が口を開く。「少将殿!えぇ、何一つ」少将が満足そうにうなずき、「ここはどの部隊の司令部かな?」と続ける。

心底不思議そうな表情で、「ここは第五連隊司令部です、何か要件が?」と答える。

「手隙の運転特技兵に、伝えてほしいことがあるんだけれど」と言われた歩哨の背筋が、ぴしりと伸びる。

「この車輛を、第二歩兵大隊の陣地にまで返しておいてほしいんだ」こんこんと、少将が駆動車のドアーを叩く。

再び綺麗な敬礼をする歩哨を後に、少将がこちらに戻ってくる。

「で、どうでした?」と俺が聞くと、「ぼちぼちだ。ついでになんか買ってくか?」と少将が答える。

じゃあ、と近場の食料品店に入り、パンとミルクを2つずつ購入して戻ってくる。

少将にパンと瓶入りのミルクを渡し、道を歩きながら話す。「ここからどうするんですか?」

「こっからは別のルートを使う」少将が答え、「さっきの車輛を覚えているか?」と訊いてくる。

こくりと頷き、口の中のパンをミルクで流し込む。「ほふぇで、あの車輛に乗り合うんですか」

「そうだ、折角の機会だしな」少将がパンをのみ込む。

「さて」少将が口を開く。


「まずは、伝令隊を探す必要があるな」

(´ω`) < 次が2話目の後半部分になる予定です。


(´ω`) < 実は、設計したプロットの1%も終わってません。

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