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"紫電隊"のキセキ  作者: ぺい督
 
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検問所と煙草

(´ω`) < わぁい

 陣地に入るすぐ手前で、歩哨詰所からばたばたと兵士が走り出てくる。

ライフル片手に寄ってきて、声をかけてくる。

「すまない!所属は何処だ?」

もう一人の兵士が、バインダー片手にやや遅れてやって来た。

側面のハッチをぐいと押し開けてセルゲイが顔を出す。

「第74機甲師団、第四〇重装甲連隊の第三大隊。第二中隊付連絡班です。」

バインダーをぱらぱらとめくり、バインダーを持った兵士がこっちを見上げる。

「6時間前に司令部へ向かったのが確認できました……それで、お二人は?」

少将が軍帽を被り直し、着いて来るようにジェスチャーをして、ひょいと車輛から飛び降りる。

それに従って俺も飛び降りる。

「第六歩兵師団、師団長のトマス・オリバーだ。」

「あー……第六歩兵師団、第五連隊の第二歩兵大隊長、オースティン・L・エヴァンス。」

バインダーをもって来たほうの兵士が、バタバタと詰所に走って行く。

最初に来た方の兵士がライフルを肩に担ぎ直して、びしっと敬礼する。

少将と俺が答礼を返したのを見て、彼が口を開く。

「サミュエル二等兵です。お二人はどうして此方へ?」

少将がこちらをちらりと見て、小さく手で何も喋らないようにと合図をしてくる。

「戦車を見に来た……友軍の兵装を知っておくことは、大事だろ?」

サミュエルが敬礼を崩して、二式伝令車の方へ近寄る。

ハッチから顔を覗かせたままのセルゲイに口早に告げる。

「観測班、先に行っててくれ。彼らは任せてもらうよ。」

セルゲイが頷き、ハッチが閉められる。

一度大きくエンジンが鳴り、ゆっくりと二式伝令車(ランナー)が発進する。


 三人で二式伝令車(ランナー)を見届けて、サミュエルがこっちに向き直る。

「あー……はい。アポイントメントは取ってありますか?」

少将が頬を掻いて、小さく苦笑いを浮かべる。

「一応、さっき連隊長に通達はしたけども。流石に連絡はいってなかったか……」

サミュエルが振りむいて、さっき走って行った詰所の方を見る。

「多分今、無線機で話してると思いますけど……」

しばらく時間がかかりそうですね。そうサミュエルが告げて頬を掻く。


「……このまま待ってるのもなんだし。煙草吸いますか?」

俺の提案に2人が賛同し、懐から出した煙草を1本ずつ受け取る。

サミュエルが出したマッチにそれぞれ煙草をかざして火を点け、一つ吸い込む。

「げぅふ、ごっふ……」

思いっきり少将がむせた。

不思議そうに見ていたサミュエルが一口吸い、思いっきりむせる。

「エヴァンス中佐……これをいつも吸ってるのか!?」

信じられないものを見るような目で少将がこっちを見てくる。

「中佐殿……舌が馬鹿になってるのでは?」

サミュエルも似たような目で見てくる。

「……というか、こんなもんしか配給が回って来ないんですよ。」

少将の顔から、表情がごそっと抜け落ちた。

「中佐、詳しく説明しろ。」

肩を掴んで、がしがしと揺らしてくる。目が回りそうだ。

「いえ、あの、その……」

「トマス少将!トマス少将!エヴァンス中佐が目を回してしまいます!」

俺がわたわたと慌てながら話そうとしていると、サミュエルが割り込んで少将を止めてくれた。

「下の方には、あまり良い嗜好品が回ってこないんです。」

俺の声にサミュエルが同意する。

「……それは、上が掠め取ってるのか?」

「恐らくは。輸送部隊は恐らく関わっていないモノと思われますが――」


 詰所の方から、サミュエルを呼ぶ声が聞こえてくる。

ついさっき走って行った、バインダーの兵士だ。

「准将からの連絡が来た、通しても構わないって!」

「りょーかいです、ウィルソン特技兵殿!」

お手数おかけしました、サミュエルがそう言って詰所の方へ案内してくる。

「これ、乗ってってください。」

そう言って、サミュエルがサイドカーをごろごろと押して来る。

少将が俺の方を見てくる。

「乗ったことは?」

首を横に振る。見たことはありますが、と付け加える。

少将がバイクにまたがり、車台に乗るように手招きしてくる。

「エヴァンス中佐、風になった事はあるか?」

「……いえ。」

何を言っているんだ。俺が首をかしげてると、少将がサミュエルを呼び止める。

「ここから第三大隊まではどう行けばいい?」

サミュエルがヘルメットに挟んであった地図を取り出す。

「道なりに進んで、2つ目の三叉路を右へ。そこまでがだいぶ遠いですが。右に行ってすぐ見えると思います。」

説明を聞いた少将が手短に礼を伝え、サイドカーのエンジンを点ける。

(´ω`) < たぁい

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