表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あの日

作者: はたはた

 1人、踏切に立つ。

 なんだか体が熱くて、いつも聞こえる虫の鳴き声も、鼓動の音にかき消されて聞こえない。

 足元には、ここに来るまで蹴ってきた空き缶が転がっているけれど、つま先がじんじんしてるし、もう蹴る気力もないからいいや。

 暇だから空を見上げてみた。夜空を観察するなんて何年ぶりかな。星も月もずっと見てなくて、夜空は一面真っ黒なものだって思ってたけど、ちょっとだけ明るくて、月も星もちゃんとある。

 左の方から電車が走ってくる音が聞こえて、前に向き直った。

 電車が、轟音を立ててすぐ前を通り過ぎてゆく。

たくさんの人、たくさんの暮らしを乗せた電車が。

これは私が乗るはずだった終電だろう。


 うるさいのに、寂しい。

 人が本当に孤独を感じるのは、周りに誰もいない時ではなく、自分と交わらない人がたくさんいる時なんだ。

 私は少し冷静さを取り戻して、今日の出来事を振り返ってみる。

 今思い返すとばかばかしい。こんなにばかばかしいことで、終わっちゃったんだ。私が終わらせちゃったんだ。

 気がつくと、なぜか私の身体が泣いてた。頭の中はすごく落ち着いてて冷静なのに、私は叫びながら泣いていた。

 近くにいる人が咳払いしたあと、釣られて自分も咳払いしちゃう時あるけど、いま私がやってることもそんな感じなのかな。

とか、考えてたと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 物悲しい雰囲気が好きです。 [一言] 冷静に考えてみれば随分くだらない理由で彼氏と別れてしまったOLの話、と思いました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ