夏バテしている某少納言のエッセイ
夏は、しんどい。明け方も、早朝も、昼も、夕方も、夜も、四六時中暑くて堪らない。夜中は特に寝苦しくて困る。月とか蛍とか風情とか、本当にどうでもよくなってしまう。
雨でも降ってくれたら少しは涼しくなるかと思ったら、ただモワモワと体にまとわりつく湿気がそこら中を漂い、髪はべたつき、一層蒸し暑くなるだけなので期待外れだ。
汗をかいてシャワーを浴びて、体を拭き終わった途端、汗をかきはじめるのは、本当に腹立たしい。
強いていうならアイスは美味しい。エアコンのガンガン効いた部屋で、頭にキンキンとした鋭い刺激を受け悶絶しながら、お腹の調子が限界を迎えるまで氷菓子を貪るのは、非常に趣深い。暑すぎて食欲を失ってもアイスだけは食べることができるので、ビタミンやカルシウム、炭水化物など必要な栄養を全てジャリジャリ君に詰め込めんで売り出せばいいと思う。
花火は遠くから見るべきものだ。いくら素晴らしいものでも、近づくとうるさすぎたり、綺麗に見えなかったり、危なかったりするのは人間とよく似ている。
夏祭りでは食欲をそそる香りと浮かれた気分に乗せられて、たとえ一人でぶらついていても楽しく感じてしまう。ただ人目を気にせずいちゃつくカップルを目の前にすると冷や水を浴びせられたように正気に返る。かといって喧嘩をする姿を見せられても興醒めするのに変わりはない。
嫌なことを思い出したので、今日はここまでにする。
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先日、彼と一緒にいたのは恋人ではなく、妹だったらしい。そんなこと別に全くどうでもいいけれど。
今年の夏休みはホームルームの結果、クラス全員参加で海に行くことになったようだ。しばらく水着を買いに行ってなかったので、暑いし面倒だが気力を振り絞り午後から出掛けよう。
青い海、白い砂浜、輝く太陽。想像するだけでも体感温度が上がってしまいそうだが、その妄想に彼を描き加えるだけで浮足立ってしまうのは我ながら情けない。
夏は……そこまで悪くない。